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おめでとう、おめでとう。
いろいろ考えて、結婚式は七月に行うことに決めた。この時期なら友人達も、そこまで仕事が忙しくて大変ということはないだろうと思われたからだ。できれば一人でも多くの友達に来て欲しいし、やるからには賑やかな結婚式にしたい。それが、私と敬一郎さんの共通認識だった。
招待状を発送したのは、四月の末のこと。
親しい友人達の多くはすぐに返信をくれた。中には手紙のみならず、電話でおめでとうの報告をしてくれた者もいる。
『てか、凄いじゃん!一体何年付き合ったのよあんたら!』
そのうちの一人、美加子は中学の頃からの友達である。お互い三十路になった今でも頻繁にメールや電話、LANEでのやり取りをしている一人だった。彼と付き合っていることは教えていたものの、結婚が正式に決まったかどうかは教えていなかった。招待状を見てのサプライズにしたかったというのもある。中学時代から二人の仲を応援してくれていた彼女は、きっと誰より祝福してくれると確信していたからだ。
『マジでおめでとー未羅!付き合ってんのは知ってるけどさあ、社会人になっても全然結婚の話でないし。進展してるか微妙な空気だったし。あたしの知らない間に別れたんじゃないかと思ってちょっと心配してたんだからね?』
「こっちにもいろいろあったんだって。二人とも、しっかり貯金蓄えたりとか、あと一定期間同棲して、それでやっていけそうだと思ってから結婚しようとかそういうね?昔から真面目だもん、敬一郎さん。それこそ、デキ婚はやっぱり駄目だからってんで、今日の今日までマジでベッドの上でもしっかりしてたくらいなんだからー」
『はいはい。七月なんでしょ。何人呼ぶつもり?』
「とにかくいっぱい!」
『そんなことだと思った!まあ、あんたみたいな大雑把な人間が、ちゃんとマナー通りの時期に招待状出してきただけ及第点だわね』
「どーいう意味だい、それは」
やはり、気心の知れた相手との電話は楽しい。美加子と話していると、ついつい時間を忘れてしまう。
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