108人が本棚に入れています
本棚に追加
(なんか…オレばっかムキになってねぇか?)
さっきまでの情熱的でエロティックな浩太はどこへやら、まるで安楽椅子の上で寛ぐ猫のようにリラックスしている浩太を見ていたらむきになるのも馬鹿らしくなり、再びベットの上に身を投げ出した。
「…ふ~…」
「リョウ」
どうせなら浩太と同じようにもう少しだらっとしよう、と思った涼の胸元に頬を寄せる浩太に名前を呼ばれ、閉じた目蓋を開けて浩太の顔を見る。
「リョウがあんまり可愛いから、夢中になっちゃった。…こんなおれは、嫌い?」
「! 嫌いじゃねーよッ! 好き、だから別にッ…気に、すんな…」
見つめた浩太があんまり悲しそうな顔をしているのを見かねて、今の涼にできる精一杯の言葉に気持ちを込めてそう言うと、一気に浩太の顔色が明るい色に染まって行く。
「よかった。…おれも大好きだよ、リョウ」
「…おう」
(早まったかな?)
大好き、と言って笑んだ浩太の顔に、一瞬涼を穿っていた時のサドっぽいものを見たような気がして、冷たい汗が背筋を流れ落ちるのを内心で感じていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!