108人が本棚に入れています
本棚に追加
そればかりか、
『すぐにいつも通りとはいかないかもしれないけれど、長谷川なら大丈夫』
だと言った浩太の言葉を涼に信じ込ませるほど、圭介はあっさり引き下がり、自分の席へと戻って行ってしまった。
(いいの、かなぁ…)
本当のことが言えずに間男的ポジションにいた涼が躊躇う気持ちを滲ませ圭介の姿を目で追っていると、浩太の腕を掴んでいた手を暖かな手のひらに包み込まれ、目を向けた。
「リョウは自分と、おれのことだけ見てればいいの。…ね?」
戸惑いも躊躇いも浩太の優しい笑顔に持って行かれた涼の胸がキュンとして、学校の、しかも皆がいる教室だということも忘れてイチャイチャしたくなる。
(なんだこれ~!)
今まで学校ではこんな気持ちになったことなどなかったのに、浩太が話すほんのちょっとした言葉にもキュンとして、その甘酸っぱい胸の疼きがあまりにも心地好く感じた涼は、じいっと浩太の顔を見つめた。
「ちょっと…リョウ?」
朝の、しかも皆がいる教室の中で涼のフラグが立っている気配を感じた浩太は、少し焦りながらも涼から積極的に迫られることが嬉しくて、身を引きながらも笑顔を浮かべ真剣な顔つきをしている涼の目を見つめ返した。
.
最初のコメントを投稿しよう!