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―――と。
「近々中に調査と称した学級会議にかけられたくなくば」
「!」
ここでキスしたい、と盛り上がるリョウに対し、冷水を浴びせかけるような鋭い声が飛び、二人の間に発生していた甘い空気が一瞬で霧散する。
「お、お公家様…」
最近習ったばかりの日本史に出てきた公家の雰囲気がぴったり、という理由で『お公家様』とあだ名をつけられた学級委員長だが、彼女はれっきとした女性である。
言葉のあやにしろ、ちょっと呼称として使うとしても間違っているような気がしなくもないが、常に腰巾着とも呼べる配下の女子を従え、このクラスの六法とも例えられる彼女にお似合いだと、口を揃えてそのあだ名を称賛した。
「清水 浩太」
げんなりとした顔をしている涼の隣で内心が読み取れない表情をしている浩太を学級委員長はフルネームで呼び、指差す。
「特にお前は昨日まで長谷川圭介と何やら怪しい関係を臭わせる行動を取っていたではないか」
「ッ!」
さすが目鼻が利く、と誉めるべきだろうか。
クラス内の空気には敏感にできている委員長の感性というレーダに、本気で浩太を口説きにかかっていた圭介の行動は学級風紀に『そぐわない』ものとして察知されていたようだ。
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