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episode.8
-海side-
なんか、「絵央」って人。やばい気がする。
俺が部屋を出てすぐ、絵央先輩は何かを言っていた。
俺は部屋を出るふりをして、ドアの前にいたから。
「えぇと...、聞こえたのは「ち...くんは...、わた...のこ...きなのよ...」だよな」
少しだけ考えてみる。
少し考えて、少し分かった。
「千尋くんは、私の」までは分かった。
ただ、その先がわからない。
でも、よく考えてみると絵央先輩の言っていた事が分かった気がする。
「まさか...、「千尋くんは、私の事が好きなのよ...」?」
まさかとは思うけど、そうかも知れない。
やばい、千尋が...
俺は急いで絵央先輩の家に行く。
しかし、絵央先輩はどこかに出かけているそうだ。
「やばいな...、このままじゃ千尋が...」
-千尋side-
俺が、日直の仕事で学校に残っていると「千尋くん...」と後ろから声が聞こえた。
「絵央...?」
そこには絵央がいた。
「千尋くん...」
「何?俺に用事?」
「そ、そうなの...」
「言って。」
「じ、実はね!私...、千尋くんの事が好き...」
絵央の口から、流れてくる言葉を俺は理解出来なかった。
「...は?何言ってんの?」
「す、好きなの...!千尋くんのことが!」
「は...?」
「ね、千尋くんも私の事が好きだよね?前に好きって言ってくれたもんね。」
−今、目の前にいるのが絵央じゃないんじゃないかって俺は思った。
「俺、別に絵央の事好きじゃないけど...」
俺がそう言うと。
「え!?でも、前に言ってくれたじゃん!「絵央の事好きだよ」って!」
絵央は狂ったように言う。
「言った覚えないんだけど。」
「...え?」
「それ、記憶ないけど多分俺がちっちゃい頃に絵央の事「友達として好き」って言ったんだと思う。」
「じゃ、じゃあ...、千尋くんは私の事好きじゃないの...?」
「うん。俺、好きな人いるもん。」
「わ、私!?」
「違う。」
「じゃあ、誰なの!?」
「お前に言うもんか。」
「え...」
「じゃあな。」
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