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……ただ、この日から疑問が浮かぶようになった
……私は本当に彼を好きなのだろうか
……でも、好きだから頑張りたいわけで
私の心から愛が零れ落ちて渇いた音を立てた
ガチャ、ドン
玄関を荒々しく開く音。
私が慌てて玄関に行ったら靴を履き終えた彼が振り向いた。
「行ってくる」
「どこに?」
「何処に行こうかなぁ」
「……え?」
「じゃあ」
「え、な、何を買いに行くの?」
「何を買うかなぁ」
「え、ねぇ、なんで、一人で出るの?」
「は~」
大きな溜息に強張る私に彼は無表情で言い放つ
「居心地悪いから出るの。じゃあ」
玄関の扉が閉まる音に。
私の目にはまたじわりと涙がにじむ。
仕事から帰ってきた私は疲労困憊でカバンを置いてソファに寝転がった。そして大きな物音で起きた私は――自分の仕事カバンがないことに気づいた。そして荒々しい足音が彼だとわかった瞬間に私は少しだけ空いていた扉の部屋を開いた。
瞬間、膝から崩れ落ちてしまった。
洗濯を干すように使っていた部屋には無残に散らばる書類たち。筆箱はプラスチックだったがために割れてしまい中にあったボールペンも強くぶつかり合ったか、もしくは踏まれたかで数本は芯が見えるほど割れていた。中には友達から貰ったペンもあった。
泣くことも、言葉を発すことも出来ず、私は片付けようとしたけど動けなかった。私の身体の中にある何かのネジが取れてしまって私の身体を動かなくしていた。
その状態の私をまるでいないかのように出ていこうとしたのだ、彼は。
彼が戻ってこないと判断した私は玄関から散らばった部屋に移動した。壊れた蛇口のように止まらない涙を流して鼻をかんだ。どれだけ流しても、鼻をかんでも止まらない思いに何もかも嫌になった。
どうして私はここにいるの。
なんで私は息を吸えるの。
一体何故こんなに泣けるの。
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