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四
「倒したのね?」
間髪入れず聞くアルヴィーに、フィーネは首を横に振った。
「いいえ、結局倒すことはできませんでした。最後の戦いで加わった放浪の魔術師が、どんな高温でも絶対に融けないガラスのボトルに封じ込めました。こうして地表に降りた太陽は退治され、九人の冒険者の頭目は爵位と領地を与えられました。それが、このメリエ公国の始まりです」
「それで、その“大災厄”を閉じ込めたガラスのボトルはどうなりましたか?」
トーマの静かな問いに、わずかにうつむいた。
胸にそっと手を当てて、深く息をつく。
「初代の領主さまは、ガラスのボトルを記念に手元に置いておいたそうです。でも地表の太陽がボトルから逃げ出さないように、秘密の錠を栓にかけさせました。ルカニア一番の秘鍵師親方に依頼して」
アルヴィー、トーマ、それにエルマンの顔が、一斉にフィーネへ向く。
「もしや、その親方というのは……?」
トーマの囁くような問いに、フィーネは深く強くうなずいた。
「はい。秘鍵師ライブール工房の先祖です」
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