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ふふふ、とエルマンが笑った。
一見、屈託のない無心な笑みだが、フィーネを見下ろすトパーズの眼差しは、冷たく堅く、そして何やら思わせぶりだ。
内心たじろぐ彼女は、半歩身を退く。
しかしそんな彼女に構うことなく、エルマンは静かに続ける。
「貴女が無事に乙女の危難を逃れ遂せた暁には、貴女の婚約者が解き明かした秘鍵の開錠法を僕に伝授するよう、お口添えを。お願いできますか? フィーネ嬢」
フィーネはうつむいた。
……エルマンの告げた条件は、フィーネの予想の範囲内に収まるものだ。
それに、今直面しているライブール工房の危機を乗り越えることができたなら、ハルトは喜んでこの三人に秘鍵の謎を明かすに違いない。
ただ……。
彼女もわずかに目を伏せる。
……どうしてこの異人の若者たちは“狂気の太陽”のボトルの開け方を知りたいのだろう?
ハルトが解き明かしたのは、それこそ百人以上の冒険者が百回挑んでやっと閉じ込めた魔物を解放する方法だ。
彼らがそれを知ったら、もしかしたら恐ろしいことになるかも……。
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