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端麗な相貌に屈託のない笑みを湛え、彼はフィーネに向き直る。
「この際ですから、思いっきり引っ搔き回してあげましょう。婚礼まで二週間、まあ下準備には、そんなにかからないかも知れませんが。とにかくフィーネ嬢は、全て終わるまで僕の指示に従ってくださいね」
「分かりました」
彼女がおずおずとうなずくと、エルマンがアルヴィーとトーマを流し見た。
「もちろん先生もトーマ師も、協力してくれますよね?」
「当然! 何でもするわ」
黒装束の下で拳を握り、鼻息荒く即答したメスカー。
その横に佇むトーマも、好意的な表情で穏やかにうなずく。
「ありがとうございます、先生も、トーマ師も」
にっこり笑ったエルマンが、フィーネに視線を戻す。
「さて、ではさっそく準備に入りましょうか。と言っても、今できるのは準備のための下ごしらえ、のようなものですが」
トーマが静かに笑った。
「料理も仕事も、下ごしらえが大切です。段取り九割、よろしくお願いしますよ」
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