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自信たっぷりに大見得を切ったアルヴィーが、何か低く詠唱し始めた。
と、その全身を覆う黒装束が仄蒼い燐光を帯び、小柄なその体も徐々に縮んでゆく。
そして幾瞬きもないうちに、黒づくめの怪少女は一羽の鳥に姿を変えていた。
鳩よりも心持ち小さいだろうか。
真っ白な羽に黒い縞模様のある、きれいな鳥だ。
頭には扇状の冠羽が生えている。
目を丸くするばかりのフィーネの耳に、トーマの穏やかな苦笑が聞こえてきた。
「美しいヤツガシラですね、アルヴィー。さすがです」
草の上に胸を反らせて立つ白いヤツガシラが、ころころと笑った。
「世間の魔術師には“自己変容”は難中の難だけれど、あたしにとっては容易いことなのよ」
そう言って飛び立った白い鳥は、フィーネの肩に止まった。
「それじゃ、あたしとフィーネさんは工房に戻ろうかしら。トーマさん、送ってもらえる?」
「あっ、先生、ちょっとお待ちを」
エルマンが、アルヴィーの化けたヤツガシラを慌てて押し留めると、フィーネをトパーズの瞳で注視した。
「お帰りになる前に、僕に教えて下さい、フィーネ嬢。この町にある、三つのお店を。この町でも屈指の名工のご息女であられる貴女なら、きっと心当たりがあるはず」
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