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朝、起きてそのまま、叶多は部屋の扉にハンガーに下げた制服に着替える。
カバンに教科書と筆記用具を詰め、部屋を出て、階段を降り、リビングに向かう。
叶多の父親はすでに仕事に向かったのか、リビングには叶多の祖母が一人、ソファに身を預け、杖は片手に持ちながらぼーっとテレビを眺めている。
映っているのはニュース番組。
日本のどこかで、ロケットの後ろにまっさらな青色の海が見える所で、もうすぐ有人ロケットが発射されるという内容。
地球に似た星が存在するんですか?
確認はされています
われわれ人類以外の生き物が宇宙には存在しているという可能性が…
なんだか、とても夢のあるお話ですね
さて、続いては…
叶多はテレビから目を離し、祖母が座っているソファの前のテーブルに視線を向ける。1000円札が一枚、その上にカッターナイフがおもりとしてなのか乗せられている。
1000円札を取る叶多。
いつものことなのか。もしかしたら、父親が置いていっているのかもしれない。
「そのお金はなに?」
叶多に疑いの目を向ける祖母が低く鋭い声で言う。
「なんでもない」
叶多はつぶやくような声で言葉を返しながらカバンから財布を取り出す。
「誰かに渡したりするんじゃないよ」
そう言ってくる祖母に叶多は何も答えず、1000円札をカバンに入っていた財布の中に入れる。
「なんだその態度は!!」
大声で怒鳴った祖母は持っていた杖で叶多の腕を殴りつけた。
自宅から出た叶多はコンビニ向かう。
店の前で叶多は購入したおにぎりを立ちながら食べている。
灰色の地面を見ながら食べる叶多の横をコンビニで用事を済ませた客が歩いていく。
叶多は買ったおにぎりを食べ終え、パッケージをカバンの中に押し込み、これから学校に向かうのか、同じ学生服を着た生徒が数人歩く歩道へと歩いて行った。
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