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 それ以上無理強いはせず、後藤は静かに四合瓶を座卓の上へと置く。 細めていた目を伏せてエドへと謝った。 「悪かった。少しは酔っていた方が気が楽になるかと思ったんだが」 「もうずっと酔っているって言ったじゃないですか‼」  とうとう我慢の限界を迎えたのか、エドが後藤の両肩を鷲掴みにした。 痛みよりも驚きを、さらには「押し倒される!」と身の危険までをも感じた後藤はとっさに体を退きかける。 それをはるかに上回る速さで、エドが後藤の上体を引き寄せた。  深き雪原の如き真白な後藤の後頭部を抱え込み、額を自分の胸へと強く押し付ける。 「直さんが好きなんです」  それは未だエドは言っていなかった。 言ったエドはもちろんのこと、言われて聞いてしまった後藤も又全く同じことを考えていた。  もう、後には引けない。 元通りに戻れやしない――。 「エド・・・・・・」 「愛しているんです」  これ以上はない程直球にエドから『告白』をされた。 日本育ちのエドははっきりとした日本語で言ったが、例え英語でだったとしても確かに後藤へと伝わっただろう。
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