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 やっとのことで後藤が呼んだ名前は、ついさっきまでと全く違う響きを帯びていた。 「これからもずっと、『今』の直さんを好きでいたい。――愛したい」 エドは後藤の目の下に落ちる陰を、走るしわを慈しむかの様に何度もなんども撫でる。 「信じて」  エドの言葉に後藤は返事をしなかった。 うなずきさえもしなかった。 自分も両手を伸ばし、エドの金色の海の如き後頭部を抱え込み口付けた。  目を閉じても、白く烈しい光に顔とは言わず全身が焼かれているかの様に熱く感じていた。
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