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 飽きることなくエドから繰り出される口付けが呼び水になったのか、解放された後で後藤はつぶやいた。 「喉が渇いたな」  『雨夜の星』へと伸ばした後藤の手に先んじて、エドが四合瓶を持ち上げる。 黒い瓶の正面に貼られたラベルは、満天の星空の写真だ。 青や、紫の色合いの夜空に大小様々な星が散らされているのを背景にし、縦 に白抜きで酒名が記されている。  何も言わないエドに対して、後藤も又無言で杯を差し出した。 注がれた酒で一度、口の中を満たした。 控えめな奥ゆかしい甘さを存分に味わってから、一気に飲み下す。 吟醸特有の華やかな香りが鼻をすっかり通り抜けてようやく、後藤は文字通りに『一息をついた』  おそらくは余裕が出来たのだろう。 エドへと、水ならぬ酒を向けることが出来た。 「おまえも飲むか」 「はい」  すぐさまはっきりと返事をしつつも、エドは後藤が差し向けた杯を取らなかった。 後藤を見るエドの顔は「シリウスの光」を浮かべた目を細め、笑っていた。 根負けし、音を上げた後藤は明後日の方を向きエドから顔を背けた。 「甘ったれやがって・・・・・・」
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