0人が本棚に入れています
本棚に追加
nazoー10作品記念特別短編作品ー
スマホをいじりながら登録を完了させる。
本当に信じていいものか?不安はあった。
直ぐにメッセージがきた。
内海恵梨、女医、40歳。写真はせいぜい20代後半くらいのお洒落で美しい女性が見える。40?俺と同じ年齢で、この画像は実物?本物?
[よろしければ私ではどうですか?]
のメッセージ。
[自分でいいのですか?]
俺は返信する。
[気付かないですか?画像見ても]
返信がきて、え?と俺は驚く。誰だ?知り合いなのか?
[ファーストキスはどうだった?]
とのメッセージに過去がよみがえる···
中学時代。俺はいつも同じ地区の女性と登下校していた。
家が近く気があった。恋心はなかったと思う。
名前はなんだっけ?覚えてない。
放課後の誰もいない教室だった···
「キスしたことある?」
なんでそんなことを聴いてきたのかはわからない。俺はないと答えた筈だ。
「してみる?」
彼女はそう言った。
え?と驚く俺の唇がふさがれた。彼女の唇が俺の唇と重なった···キスされた···
唇を離すと彼女は真っ赤になって···そこから記憶がない。
少しして彼女は引っ越した。
そう。そして彼女とはそれきりだった。
あのファーストキスは···
ファーストキスはどうだった?で思い出したのは、あのファーストキスだ。そこで彼女が転校してきた時に戻る。
「ーーーーです、仲良くしてください」
と笑顔をみせた。そうだった。彼女は男たちを魅了していた。あの天使のような笑顔で。
その笑顔と画像の笑顔が見事に重なった。
まさか?
偶然なんてない。世の中はそうなるようにできている。
[ファーストキスの相手は君だ]
と打つ。
[元気だった?]
彼女は返信してきた。
やっぱりか。
[学校で会わない?]
とメッセージがきた。
俺は原付バイクを走らせた。
スピードをあげる。
···不意に前を走る車がブレーキをかけた。
あ···。
車の後ろに勢いよく突っ込んでいく···回る···車が下に見え去る···俺の身体は車の前へ翔び宙から地面に叩き落とされる。まるでスローモーションのように···だが一瞬の出来事···
意識が消える。
車の運転席では内海恵梨が不気味に笑っていた。
運転席から降りた内海恵梨はゆっくりと倒れている男を睨み付け薄ら笑いをうかべる。
ーーーーーーーーーー···end
最初のコメントを投稿しよう!