恋は・・・

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恋は・・・

 遊学館のホールで周囲を見回す。 遊学館は図書館で中には喫茶店もある。 私はホールから本棚へと歩いていく。 居た。 私の胸は高鳴る。 いつもこの本棚にいる女性。 私は彼女の名前すら知らないけどいつの間にか気になる女性になっていたのだ。 本棚の棚から見える反対側に立ってチラチラと彼女を見る。 ドキドキと心臓が高鳴る。 美しい・・・。ジッと見つめていたい。 彼女は本をゆっくりめくりながら見ていた。 私は彼女に吸い込まれる気分になる。  最近、山形市は事件が多くなっていた。 警察が遊学館に見回りが来る程に。 警察はすぐ去って行くので何ともなかった。 私が喫茶店に入ったところに警察とすれ違った。 それだけだ。  椅子に座り珈琲を注文する。 彼女の事を思う。そんな時間だ。 突然に向かいに座る。なんと彼女が座った。 私は呆然と感激が沸く。 「私を見てたでしょ?」 彼女が言った。 「すいません」 謝ることしか出来なかった。 「いいのいいの、どこか行こっか?」 意外な言葉に嬉しくなる。 「喜んで」 私は彼女と喫茶店で話して遊学館を出て二人で移動した。  本日、また山形市内で首をナイフで切られて殺害された遺体が・・・  犯人は未だに解っておらず・・・ ラジオが臨時ニュースをしている。 女性は車の中でナイフをしまう。
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