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「店長、僕キッチンやりますね」
「黒木くん、ありがとう。じゃあ、お願いします」
昼からは軽食の注文も増えてくるため、キッチン担当のスタッフも増員している。
私はオーダー通りのコーヒーを淹れることに専念できるため、気持ちにも余裕が出来るのだ。
「店長、カフェラテと豆乳ラテのオーダー入りました」
「はい」
このカフェをオープンした当初は、ラテアートが上手く出来ずに悔しい思いをしたこともあった。
だから、とにかく毎日練習した。
お店を閉めた後にひたすら毎日特訓したおかげで、誰よりも上手に作れるようになった。
今となっては、得意中の得意だ。
エスプレッソの上にミルクを注ぎ、クマのアートを描く。
「うん、いい感じ」
カフェラテと豆乳ラテを作り終えたところで、ふと目の前の席に人が座る気配を感じ顔を上げ、思わず声が出そうになり口を抑えた。
顔を上げた先には、今朝真衣ちゃんが言っていた例のイケメンが座っていたのだ。
タイムリー過ぎる。
確かに最近よく来てくれるけれど、普段は夜に来ることが多い。
今日のように、昼の時間に来店する彼を見たのは、初めてのことだった。
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