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それを聞いた。久我山という男は、ーパチッと右手でスナップした後、彼の周りには無数の火の玉が現れた。
僕は、見た瞬間驚きのあまり声が、出なかった。
手品でもない、人が何かやっていることもない正真正銘の魔法だと思った。
尊敬の眼差しを向けていたら久我山がなにか言っているように見えた。
(やはり、お気楽すぎる。)
「それでは、君にテストをしよう」
そう言うと、また指でスナップした。 僕は、次も新しい魔法が出てくるのかと、ワクワクしたがさっきの呆れた顔ではなく怒っているように見えた。
そして僕の左に魔法陣が出現し、炎や雷など発動するわけではなく、人の姿が現れた。
その人は、あまりにも悲惨な姿であり、手を拘束され、目を隠され、更には所々にミミズ腫れのようなものが見えた。
一瞬誰がこんな事をしたのかと、思ったがすぐに分かった。
あいつだ。正体がつかめた瞬間背筋が凍った。
僕も同じ様にされるのではないだろうか。
一体なぜこんなことをする、彼が何をした。
考えれば考える程謎と恐?ら怖が込み上げてくる。動揺をしていると、奴は口を開いた。
「拳銃を使って右にいつやつを殺せ。」
僕の目の前に拳銃を放り込まれた。一体何が狙いだ?
「この人を殺せってのか? この人が何をしたんだ!!」
「まぁ無関係の人を殺すって言うのも尺かぁ。
なら一つだけ教えてやる。『殺らなかったら悪、殺ったら正義だ。』それじゃ」
そう言うと、何処かヘと闇の中へ消えていった。
「おい! 待て!!」
力強く言ったせいか、雑音すらないこの空間に響いた。
ただ先程言ってたことに引っかかっている。
殺れば正義、何言っている? こんなにも見窄らしい姿の男性を殺るなんてど畜生にも程がある。
こいつはやばいサイコパスだ。この人と一緒に脱出しよう。
たが、この場所に脱出口があるのだろうか。
まずは、この人の拘束を解こう。
「大丈夫ですか? 今拘束を解きますので、一緒に脱出しましょう。」
「必要ない」
弱々しい声ながらも、強い意思のようなものが感じ取れた。
「何故です? こんなにも酷いことされたのに。」
「ああ、この赤い傷だろう。だがそれ以外の傷跡はやつの仕業ではない。仕事で受けた傷だ。」
それを聞きながら拘束されていたものを解いた。
さっき言っていた、『仕事で傷を受けた』に引かかった。
一体どのようにしてこんな痛々しい傷を受けたのだろうか。
まさか強制労働ではなろうか、いやきっとそうだ。でなければ説明がつかない。
そう色々考えていたら、彼から口を開いた。
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