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* * *
「直樹……よかった」
体の上に誰かが覆いかぶさってきた。
僕はベッドの上に横たわっていた。
「痛いよ」
乗っかってきた誰かの体を突き放す。
「母さん、心配で、徹夜で付き添っていたのよ」
僕の脇で涙を流すその女性は、まぎれもなくお母さんだった。その脇に立っているのはお父さん。
「もう、家出なんてやめてくれよ」
「僕、病院へ……」
「もう心配はいらないわ。特効薬ができたのよ。寝ている間に打ったから。病気はもう、治ったのよ」
お母さんが涙をボロボロとこぼした。
僕はその顔をマジマジとみて、こう言った。
「病気が治ったんじゃないよ。僕は、生まれつき病気じゃなかっただけ」
(了)
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