ただのしかばねのようだ

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「結局貴方は、私を舐めてるって事よ」  浮気がバレ、男が女を弁明の場に呼び出したのは近所の安価な居酒屋。場違いなドレスコードの自分の前に無言で座るパーカー姿の男に女は自分を軽く扱われたと憤慨した。 「とにかく私達はもう終わりなの!いい?わかった!?じゃあね!」  女はジョッキの中のハイボールを飲み尽くすと激しい音を立ててテーブルに置いた。焼き鳥の香ばしい匂いと白煙が立ち込める店内に決別のサインが無情に響く。  二人の恋の終焉。 だが男はどうしてもヨリを戻したかった。 「........ざえるく」 「は?」  席を去りかけた女が振り返えるといつの間にか頭を垂れた男が、すぐ側で棒立ちしている。 「な、なによ?一体。もう終わったって言ってるでしょ」 「うがんぼ!」  女が再び背を向けようとした瞬間、男は謎の言葉を叫びカッと目を見開いた。 「な、なに?ちょ、、ちょっと。近寄らないでよ」  たじろぐ女に向かって男はゾンビの様に両手を伸ばし、呪文の様な言葉を唱えながら、ゆっくりと接近していく。 「おなやか れなはた をなれん すまなま てなかな たななみ らなまん いかな っなみ しょなな うまなみ ゆかたん るるる さばんば なかまま いるみな ぺぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺへ ぺぺへぺぺへ ぺぺぺ ぺぺべ ぺぺぺ ぺぺぺぺぺへ ぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺへ ぺぺへぺぺへ ぺぺぺ ぺぺべ ぺぺぺ ぺぺぺぺぺへ ぺぺぺ ぺぺぺ」 ...............へんじがない   どうやら おとこの こいの ふっかつのじゅもんはきかないようだ。
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