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別れと出会い
俺は、結衣に会いたいと思った。
今さら、6年間も付き合った彼女とは未来が見えずズルズルしてても仕方ないと思った。
最後に彼女と会った時に結衣からアドレスを教えてもらった夜だった。
彼女は、飲食店に就職していていつも眠たそうにしていた。
彼女が寝ている間にトイレでアドレスを入力して結衣にメールをした。
翌朝、彼女と最後に駅前のたい焼きを食べて別れた。
その1週間後、彼女と恋人として破局した。
当時、俺は結衣がこの世に存在してるのか不安で酒を飲み、教えられた電話番号に電話した。
何回かコールしたが結衣は出なかった。
酒をさらに飲んで寝る寸前で結衣から電話がかかってきた。
【もしもし、健さんですか?】
可愛い声だった。
【はい。健です。結衣さんですか?】
【はい。電話に出れなくてすみません。今、会社の飲み会で居酒屋にいるんです。】
【すみません、忙しいのに。】
【いえ、どうかしました?】
【結衣さんがちゃんと存在するか確かめたくて。】
【実在しますよ。】
優しい声だった。
その後、会う約束をして電話を切った。
結衣と会う日は彼女とは別れていなかった。
結衣とは横浜駅で待ち合わせをした。
結衣は、時間通りに来てくれた。
華奢で背が低くてハーフのような顔立ちをしていた。
2人を繋げたビールを飲みに居酒屋に入った。
「健さんで呼び方良いですか?」
結衣は、狭い席に座ってから聞いてきた。
「健ちゃんで良いですよ。」
俺は、ビールで乾杯した後に言った。
「じゃあ、わたしの事は結衣で良いですよ。」
結衣は1つ年下だった。
酒が進むにつれて結衣の仕事、家族構成など分かってきた。
俺と結衣は気が合った。
俺は、雲と夕焼けを写真に撮るのが好きだと言った。
結衣に、携帯電話に入っている写真を何枚か見せた。
結衣は偉く感心していた。
お互い酔いの勢いで居酒屋を出て駅の改札口でキスをした。
次に会う約束をして俺達は別れた。
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