出会い

1/1
前へ
/14ページ
次へ

出会い

高1の秋ごろだろうか。 11月8日 私は夜、なんとなく家を抜けて川沿いのベンチに座っていた。星々の生きる大空が綺麗だった。そんなとき彼が来た。 「隣、いいですか?」 それは淡い青色のパジャマ姿で同い年くらいの男の子だった。 女の子よりも可愛いくて綺麗な顔立ちだった。 「こんばんは」 彼は綺麗な瞳で、優しい笑顔で私にそう言った。 「星、綺麗ですね。僕もあんな風に輝いてみたい。」 「...私にはもうあなたは十分に輝けているように見えますよ。」 失礼だったかも、と言ってから後悔した。けれど彼は優しかった。 「ははっ。ありがとうございます。でも、僕は君の方がこれからもっと輝けるように思えますよ。だって、僕はこれから光を失っていくだけですから」 彼は笑顔のまま少し悲しい顔をする。 「どういうことですか?光を失うって」 その悲しい顔を見て気になってしまった私はつい、聞いてしまった。 「あ、いや、なんでもないんです。あぁ、そろそろ戻らないと。僕抜け出して来たんですよね。君も早く家に帰らないと叱られちゃいますよ。」 「そんな、もう帰るんですか?」 「もともとすぐ帰る予定だったので。」 私は少しショックだった。もっと話を聞きたかった。 「では」 彼の背中が遠くなっていく。 「あ、あの!」 少しでも一緒にいたくて引き止めてしまった。 「ん?なに?」 彼は優しい顔で振り向く。 「あ、あの、えーっと、あ、名前!名前教えて下さい!」 「ああ、名前ね。ユウです。ユウ。君は?」 「わ、私は凛です。山内凛。」 「凛ちゃんか。素敵な名前だね。また明日もきっと来るよ。じゃあね。凛ちゃん」 それが私達の出会いだった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加