2人が本棚に入れています
本棚に追加
出会い
高1の秋ごろだろうか。
11月8日
私は夜、なんとなく家を抜けて川沿いのベンチに座っていた。星々の生きる大空が綺麗だった。そんなとき彼が来た。
「隣、いいですか?」
それは淡い青色のパジャマ姿で同い年くらいの男の子だった。
女の子よりも可愛いくて綺麗な顔立ちだった。
「こんばんは」
彼は綺麗な瞳で、優しい笑顔で私にそう言った。
「星、綺麗ですね。僕もあんな風に輝いてみたい。」
「...私にはもうあなたは十分に輝けているように見えますよ。」
失礼だったかも、と言ってから後悔した。けれど彼は優しかった。
「ははっ。ありがとうございます。でも、僕は君の方がこれからもっと輝けるように思えますよ。だって、僕はこれから光を失っていくだけですから」
彼は笑顔のまま少し悲しい顔をする。
「どういうことですか?光を失うって」
その悲しい顔を見て気になってしまった私はつい、聞いてしまった。
「あ、いや、なんでもないんです。あぁ、そろそろ戻らないと。僕抜け出して来たんですよね。君も早く家に帰らないと叱られちゃいますよ。」
「そんな、もう帰るんですか?」
「もともとすぐ帰る予定だったので。」
私は少しショックだった。もっと話を聞きたかった。
「では」
彼の背中が遠くなっていく。
「あ、あの!」
少しでも一緒にいたくて引き止めてしまった。
「ん?なに?」
彼は優しい顔で振り向く。
「あ、あの、えーっと、あ、名前!名前教えて下さい!」
「ああ、名前ね。ユウです。ユウ。君は?」
「わ、私は凛です。山内凛。」
「凛ちゃんか。素敵な名前だね。また明日もきっと来るよ。じゃあね。凛ちゃん」
それが私達の出会いだった。
最初のコメントを投稿しよう!