ホワイトムスクの元日

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キッチンで立ったままヨーグルトと野菜ジュースを胃の中に入れて、ようやく目が覚めた気になる。 と、言うか、此処までの記憶が無い日もあったりするので、人間は内臓が動き出すまでは起きていないのかもしれない。 コーヒーメーカーにお気に入りの豆をセットして、箱で買っている「垂水温泉の温泉水」を注ぐ。 色々と試したのだが、私の好みのコーヒーにはこの水が一番合っている様な気がしている。 コーヒーが淹るまでダイニングテーブルでタバコを吸う。 ここまで正月らしい事は何もしていない。 いつもと同じルーティーンだったりする。 デキャンタにコーヒーがポトポトと落ち始める。 すると部屋を支配するホワイトムスクの香りと淹れたてのコーヒーの香りの鬩ぎ合いが始まる。 しかしこの二つの香りが混ざり合う事は不思議と無い。 何故か交互に香っている気がするのだ。
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