白銀が見えない

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 少し、落ち着いてみる。  一体、眼鏡は何処に消えたのか。  通常であれば、ベッド横のサイドテーブルに置いて寝る。  しかし、無い。  昨日の夜は酩酊していたので、きちんと置いて寝たかどうかは、上手く記憶に無い。  考えられるのは、昨日の寝相の虫の居所が悪く、寝ている間に体が当たって何処かに飛んでいったパターン。  あるいは、酔いが回って何処かに眼鏡を置いてきてしまったということも考えられる。  いずれにせよ、昨日、帰宅するまでは目が見えていたはずで、それから外出をしていない以上、間違いなく家の中にはある。この1DKの狭い部屋の何処かに、必ず眼鏡はあるのだ。  探さねばならない。  探さなければ、何も見えない。  何も見えなければ、僕の休日はそれで終わる。  終わるというより、明日仕事にも行けない。  しかし何も見えない。  何も見えないので、探せない。  何処を見渡してもぼんやりしていて、探せない。  しかし一人暮らしである以上、誰一人として助けてなどくれない。  助けを呼ぶにしても、携帯電話の表示もよく見えないから電話も掛けづらいし、そもそも眼鏡を無くしたから来て、と気軽に言える範囲に、気軽な知り合いがいない。  親は電車を乗り継いで4時間かかる。  一体、どうすればいいのだろう。  僕は暫く途方に暮れた。
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