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 「読んで見たけど、おかしいと思える内容じゃあないのよねぇ~」  「じゃあ、部活というキーワードは違うのか?」  「うーん……ん?」  「どうした、綾?」  「渉。こっちに来て」  綾は考えながら論文の表紙や裏表紙を交互に返しながら見ていたら、おかしなところを発見した。それを見つけた綾は渉を呼んだ。  「ここ見て!」  渉に見てほしいところを指でさした。  そこには、何か消した跡があった。  「これってボールペンでも消せる消しゴムで消した跡ぽっいよね」  「確かに」  2人が見ていたところは裏表紙の右下のところだ。何か書いてあったと思われるところを消しゴムで消した跡があった。  その部分だけが紙が少しすり減っているかのように見えて、綾が指で軽く触ってみると少しザラついていた。  「……もしかして、これを書いた人の本当の名前が書いてあったのかもしれない」  「本当の?」  「そう。この論文には部長の名前があるけど、本当は別の人が書いた物で部長は名前を消して自分の物にした」  「マジかよ!」  「多分。それに……今、思うとこれを始めに小雪先輩が読んでいた時の『これって』という呟いた事にも納得いくわ。先輩は、どこかで見た事があったのよ。見た事がなければ『これって』と呟かないと思うの」  「確かに知っていないと出てこない言葉だよな」  「……これ、しばらく借りる事が出来ないかしら。出来ればこの原文を」  「原文?」  渉の一言に綾が説明する。  「コピーしたのもあるみたい」  「そういう事。綾の思った事がそうならコピーだと意味がない。だから原文を」  「うん。だからこのまま借りるか、貰う事が出来れば」  「証拠にするのか」  「うん。一つでも多く持っていた方がいいでしょう」  「確かに」  「明日は部活が休みだから、どこかで部活を探して聞いてみるわ」  「じゃあ、父さんのところに行こう、綾」  「そうね」  2人の捜査は少し前に進めたような結果になった。そして2人は今日の報告をする為、父親のところに行き、報告して1日が終わった。  次の日の朝。渉が日直の為、綾一人で登校していた。1人で登校していたら、後ろから呼ばれたような気がして後ろを見た。  そこにはある人物がいた。  「おはよう、綾君」  「あっ、おはようございます、藤村先輩」  綾は偶然にも天文部の部長である藤村竜也にあった。綾の心の中でこれはチャンスだと思い、さっそく論文の話をした。  「すみません、先輩。まだ、論文が読み終わっていないので、できたらしばらくお借りしても大丈夫ですか?」  「それは大丈夫だ。綾君がしばらく借りていてもコピーしたのが準備室にあるから平気だよ」  コピーしたものが準備室にあるのは知っているがここは、あえて知らないふり、始めて聞いたかのように振る舞った。  「そうですか、良かった。私、読むのが遅いので私のせいで他の人が読めないと困ると思っていたので」  「ごめん、僕の説明不足で。論文は先生にも読んでもらってから、発表の場で使う事が多い。そのため、自分の論文を書くのに他の人と少しでも、かぶらないように先生にお願いして、必ずコピーするようにしているんだよ。あとは他の人にも発表の場で使われた論文が読めるようにしてある」  「そうなんですか」  「うん。だから綾君がしばらく借りていても問題はない。しかし、綾君真面目なんだね。今は部の見学者なのにそこまでやってくれるなんて」  「そんな事はないですよ」  「そうかい? これはますます、綾君が天文部に入ってくれるといいなぁと期待してしまう。あっ、今日は部活休みだから。小雪から明日の夜の事は聞いているよね?」  「はい、大丈夫です」  「じゃあ、明日の夜に」  綾は下駄箱のところで部長と別れた。綾は教室に向かって歩いて行った。  教室に入ってからすぐに春奈が綾のあとから教室に入って来て、さっきの光景を見ていたのか、綾に近づいて驚きの声を出した。  「ちょっとあやっぺ!」  「あっ、おはよう春奈」  「おはよう。じゃあなくって、今の何? 今の竜也先輩でしょう。なんで一緒にいたの!」  「綾は今、天文部の見学に来ているのよ」  「あっ、おはよう若菜」  「おはよう、2人共」  綾と春奈が話していると今、来たばかりなのか若菜が2人の後ろから話し掛けた。  「そうなの! それにしても……いいなぁ~。あーあ、あたしも天文部に入れば良かったかなぁ~」  「「全く、春奈は~」」  「何よ、2人共」  2人は春奈の行動をよく知っているので2人同時にため息が出た。  そのあとは、先生が教室に入ってくるまで会話をしていた。          ***  「お帰り、綾」  「ただいま、お父さん、渉」  「何か分かった、綾?」  「今日は部活が休みだから何も。ただ、あとで準備室にあるコピーしてある論文と原文を比べてみようと思うの」  「確か綾が持っているのが、原文で学校にあるのがコピー。見比べてみれば何か見えてくるかもしれないなぁ」  「そう思うよね、お父さん」  「そうだな。やってみなさい」  「はい」  「まだ、ピースは集まりそうで集まらないところだ。焦らず2人のペースでやりなさい。真実は逃げたりしないから」  「「はい」」  「お帰り、綾」  三人で会話をしていたら母親の声が聞こえた。後ろを見ると母親の姿があった。  「ただいま、お母さん。夕飯作り、手伝うよ」  「あら、ありがとう」  母親が買い物から帰って来て、特にやることが今のところ何もなかった綾は、母親の手伝いをする事にした。  「あっ、そうだ。あのね、お父さん、お母さん。明日の夜に学校に行かないといけないの。いいかな?」  「いいわよ」  「いいの!」  「だってそれは今、綾と渉が解決しょうとしている事件に係わる事なのでしょう。だったらお母さんもお父さんも止めないわ」  母は父から色々と話を聞いているみたいで素直に認められた。  「渉。一緒に行ってあげなさい」  「うん」  「ありがとう」  綾は制服から私服に着替える為に一度、自分の部屋に行った。私服に着替えた綾は母親の手伝いをする。  渉は父と一緒にテレビを見ていた。  事件が解けるまで、まだ係りそうだ。                          6  捜査3日目。朝、学校で若菜と部活の話をしている時、夜の活動する時の部活は休みだと聞いた。休みの間、先輩が夜の活動を準備するみたいだ。  綾は今、天文部で見学者として部活に参加している。もちろん今日の活動の準備を先輩達がやっているなんて知らない。  綾は放課後、若菜と一緒に帰ろうと誘ったら一緒に帰れないと断れて、理由を聞いた時に始めて夜活動の準備について知った。  若菜は先輩達がそれぞれ用事ができてしまい、夜活動の準備が出来ないから若菜が変わりに夜の準備をする事になったみたいだ。他の1年生はまだ準備の仕方が分からない。  けど、若菜と雫は知っていたみたいで、今では雫が亡くなってしまい、1年生では若菜しか知らないので、若菜一人でやることになったみたいだ。  綾は、じゃあ自分も手伝うよと若菜に伝え、一緒にやることになった。そして今、第二理科室にいた。  「若菜。私、何やったらいい?」  「そこにある段ボールを1個持って行ってくれる」  「これね」  「そう。あと綾、これ屋上の鍵。これを持って先に行って。うち、ちょっとトイレに行ってから屋上に行くから」  「はーい」  綾は屋上の鍵を若菜から預かって屋上に向かう。  ここの学校は屋上があるが一般的に立ち入り禁止になっているので、ドアには鍵がかかっている。しかし、今回のように部活で使うとなるとまずは、学校の許可を得てから部活の顧問である先生あるいは、他の先生から鍵を預かって、部活での使用する事が出来るようになる。  2つの条件がクリアになれば屋上は使っても大丈夫な事になっている。  「綾?」  「渉!」  綾が屋上に向かっている最中に丁度、渉に会った。  渉は委員会で帰りが遅くなるって言っていたっけと綾は思い出していた。  「委員会が終わったのね?」  「あぁ」  「じゃあ今から帰るの?」  「そうだけど。……綾、その荷物ってもしかして……今日の夜、使うやつか?」  「うん、そうだよ。若菜と帰ろうと思っていたら若菜が今日の準備を1人でやらないといけないみたいで、1人じゃあ大変そうだから私も手伝っているのよ」  「ふーん、それ持つよ。これと交換」  「ありがとう、渉」  渉は今日の夜、綾と一緒に学校に来る事になっているので、綾が持っていた荷物が今日の夜に使うものだとすぐに分かった。渉は自然と綾が持っている荷物を自分が持っていた鞄と交換してあげた。  2人は屋上へ向かう。屋上へ行ける階段を上って屋上についた。  綾は若菜から預かった鍵で屋上の鍵を開けて外に出てみた。  「「わぁーー」」  「おっ、さすが双子。行き、ピッタリね!」  「若菜」  「お待たせ! 渉君も手伝ってくれるの?」  「まぁ、どうせ今は暇だし」  「ありがとう、助かるわ~。じゃあ、やりますか!」  「若菜。これ、どうしたらいいの?」  「それはねぇーー」  2人で持ってきた段ボール箱を開いて中に入っている道具を出していき、若菜の指示で綾と渉の2人は夜の活動の準備をしていく。  「あっ、道具が足りない!」  準備をしていく途中で道具が足りない事に若菜は気がついた。  「じゃあ、私が取りに行くよ。第二理科室にあるのよね?」  「うん。えーと、この黄色のテープとランプもあと5個くらいあった方がいいかも」  「じゃあ、俺も行くよ。綾だけじゃあ、なんか無理ぽいし」  「ありがとう、渉」  「仲が良いことで。じゃあ、お願い」  綾と渉は一度、第二理科室に向かい若菜に頼まれたものを探した。けど、ランプはすぐに見つかったが黄色のテープがなかなか見つからず、2人は天文部の顧問である竹村先生のところに行き、テープを貰い屋上へ向かった。  「遅かったね?」  「うん。テープが見つからなくって先生のところに行って貰ってきたの。だから遅くなっちゃったよ」  綾と渉は持ってきた荷物をおいた。  「そうなの。あとで部長にいっておくよ。あとは……ランプをそこに置いて、テープも少し足りないところに貼って……おしまい! じゃあ、帰ろうか、2人共」  「「はやっ!」」  最後に若菜が1人で軽く補充していき作業が終わった。若菜は屋上のドアに鍵をかけて3人は階段を降りていく。  「綾に渉君、ありがとう。おかげで早く終わったよ~」  「いいえ~」  「最後のほとんどは若菜さんがやっていたけど」  「いいのよ、早く終わったから。……今、何時だろう?」  「えーとね、4時45分だね」  綾は自分の腕時計を見た。  準備を始めては、4時10分。終わったのが45分で、35分かけて夜の準備が終わった事になる。  「ヤバイ、塾に遅れる! ゴメンね、綾に渉君。これ竹村先生に返しておいてくれない?」  「いいよ」  綾は若菜から屋上の鍵を預かった。  「じゃあゴメンね」  若菜は急いで階段を下りていった。  「じゃあ、鍵を返して家に帰ろうか、渉」  「そうだな」  職員室に向かって歩いていると丁度、和志と出会った。  「おや、綾ちやんにそっちは、もしかして弟君かい?」  「そうです」  「どうも初めまして、弟の渉です。和志先輩」  「俺の事、綾ちゃんに聞いたの?」  「はい。綾から天文部の人達の事を聞いているので」  「そうか、綾ちゃんから。じゃあ、よろしくな渉君!」  「はい」  「和志先輩は今から帰るのですか?」  「そう、委員会が長引いてやっと終わったところ」  「そうなんですか」  「綾ちゃんも今から帰るの?」  「はい。屋上の鍵を返してから」  「じゃあ、俺達の代わりにやってくれたのサンキュー。大変だろ。準備するのも」  「そうですね。でも若菜の的確な指示のおかげでと渉が手伝ってくれたので、早く終わったって若菜が言っていたので」  「そうか、それは良かった」  「まぁ、ほとんどは若菜が1人でやっていたようなものですけどね。ねぇ、渉」  「そうだね」  「でも手伝ってくれただけでもありがたいと思うけどなぁ」  「そうですか。それなら良かったです」  「じゃあ、今さら鍵を返しに行くんだよね。なんなら代わりに俺が返しておこうか?」  「大丈夫ですよ。私と渉で返しておきますよ。それに先輩だって委員会で疲れたと思いますし」  「そうか、気を付けて帰ってくれよ」  「はい」  和志が2人から離れようとした時に和志のポケットから1枚の封筒が落ちた。  「和志先輩、落ちましたよ」  「あぁ、ありがとう、弟君」  渉は封筒を拾って和志に渡した。和志は渉から封筒を受け取った。  「先輩、ラブレターですか?」  「そうだったらいいんだけどなぁ~。残念ながら違うのさ、弟君」  和志の表情が一瞬、暗くなったのを2人は見逃さなかった。  「和志先輩、どうしたんですか? なんか……顔色が」  「そうか? うーん、そうだなぁ、誰にも言わないと約束してくれるなら教えてもいいけど」  「「言いません」」  「双子ってすごいなぁ。本当に息がピッタリになるのか。マジですげぇ」  「「そうですか?」」  一瞬、双子の息ピッタリの言葉にホッとしたのか、和志が制服のズボンポケットからさっき落ちた、封筒を2人に渡した。  「見てもいいんですか?」  「うーん……やっぱ、恥ずかしいからやめておく。……口で言うよ」  「でも、それじゃあ……もっと恥ずかしいのでは?」  「かまわない」  和志は息を整えて言葉にした。  「1人目の天罰。神は許さないって書いてあった」  「なんてすか、それ?」  「どうせ、イタズラだと思っている。それに思い当たる事は全然、思い付かないし」  「そうですか。ただのイタズラだといいですね」  「でも、気を付けて下さいね、和志先輩」  「ありがとう、綾ちゃん、弟君」  そういうと和志は封筒をポケットに入れてそのまま帰って行った。  「何もなければいいけど……」  「そうだなぁ、悪い方に考えるのはやめておこう」  「そうね」  「鍵を返して帰ろう、綾」  2人は職員室に向かった。  綾と渉は職員室に行き、かごを竹村先生に渡して下校した。あとは、夜の7時半頃にまた、学校に来るだけだった。  和志が持っていた封筒の中身の意味が後で大変な事になるなんて、今の2人には分からなかった。  7時10分。綾と渉は夜の学校に向かって歩いていた。  天文部の夜の活動を今日やるので綾はまだ、見学者という事で正式な部員ではないが参加する事にした。  2人は青森雫の死に関係していると思われる部活を今、調べている。依頼者である星宮を除いた部の人達には、バレないように。  「……なんか、雨でも降りそうな……嫌な気分」  「どうした、綾?」  「なんか……不安になってきた」  「綾……もしかして夜の学校が怖い?」  「違うわよ、バカ! ……何もなければいいと思って。……渉だって覚えているでしょう、和志先輩の手紙の事……」  「もちろん覚えている……」  2人は学園に着いた。そこには何人かの部員と竹村先生が正門のところにいた。  「「こんばんは」」  「お、さすが双子!」  「2人共、時間厳守で結構」  「先生~今は学校は終わっていますよ」  「そうだけどね、金森君。何となくだよ。しかしあとは、部長と2年の2人ですね」  先生が腕時計を見ながら話をしていた。  「しかし、本当にそっくりね」  「ですよねぇ、小雪先輩」  「そうね。驚いたわ」  「「お待たせしました!」」  雑談をしていたらようやく残りのメンバーがやって来た。  「これで全員揃そろったね。君達が最後だよ」  「ほら、やっぱり~和志のせいたからね!」  「わ、悪かったよ」  「移動しょう」  全員揃ったところで屋上へ向かった。  夜の学校は静間しずまにかえっていて自分達の歩く足音しか聞こえない。  「和志先輩って真面目なんですね」  「どうしたんだい、綾ちゃん。もしかして夜の学校、怖い?」  「渉にも言われましたが違います。先輩だけ制服でみんな、私服だから目立つなぁ~と思って」  「あぁ……これか。そのままで来たから」  「そのまま?」  屋上に行くまで人数分に懐中電灯を配り、その明かりで屋上に向かっていた。その時、和志だけが制服のままだったので綾は何となく聞いてみた。  「和志って寝ていたのよ。私と部長で和志の家に行って正解だったの」  「じゃあ、先輩が遅れた理由って和志先輩が原因ですか?」  「俺が原因って、あっさり言ってくれるなぁ、冬真」  「す、すいません」  「いいのよ、神森君。本当の事なんだから」  「本当の事なんですね、和志先輩、アズサ先輩?」  「そうなのよ、サユリちゃん。和志の寝坊よ。全くあたしが思った通りよ」  「だから、それは悪いって」  「でも、アズサ先輩は和志先輩の事、よく分かりますね」  「あっ、それは」  「「えっーーー!」」  「ん、どうかしたかい?」  「「な、何でもないです」」  突然の驚きだった。思わず、綾と渉は同時に叫んでしまった。  そんな2人を見てアズサが照れ臭そうに語る。  「そ、そんなに驚かないでよ。しかし本当に双子だね、息ピッタリにハモっていたよ」  「「……はい」」  綾と渉が驚いたのは、和志とアズサの2人は恋人同士だという事に。部のみんなは知っている感じだった。綾と渉は後ろの方を歩いていたので、突然の叫び声で前の方を歩いていたみんなが歩くのをやめて、何事だと後ろを見たが何もないと分かりまた歩き出した。  「あっ、そうだ、若菜君」  「はい」  「今回の準備、若菜君が1人に任せてすまなかったね。誰の手伝う事が出来なくって」  「いいえ、部長。綾と渉君が手伝ってくれたので大丈夫でした」  「そうか、綾君と渉君が。ありがとう」  「いいえ。若菜1人じゃあ大変だなと思って」  「綾の付き添いだったので」  「それでもありがたい事だよ」  今、屋上に向かう階段が見えてきた。周りが暗いのでゆっくりと会話をしながら歩いて行った。  「若菜、俺の特等席は?」  「大丈夫です。ちゃんと用意してあります」  「サンキュー」  綾は近くにいた星宮に聞いてみた。  「ねぇ、星宮さん。和志先輩の特等席って?」  「それは、和志先輩の行動を見ていれば分かると思いますよ」  「「?」」  星宮の言葉を聞いても分からなかった綾は自分の隣にいる渉を見て今の説明、分かったと目で語るが渉にも分からなかった見たいで2人して首をかしげた。  「さぁ、階段を上って屋上に行こう」  「先生、鍵は?」  「先に開けてある」  「やり~っ。じゃあ、お先に~!」  「こらっ、山里!」  屋上の鍵は開いていると知った和志は、誰よりも一番先に階段を上って行った。そんな行動を見た先生とアズサが[[rb:またなのか > ・・・・・]]と一緒にため息をしたのを綾と渉は、一緒に見た。  和志が屋上のドアを開けた。夕方、準備したテープで所々ところどころ光っている。その中の2本は真っ直ぐでその線のところにランプが置かれていて、それを目印に和志がランプに明かりをつけていく。  「すごい。星空がきれい」  「確かにこれはすごい」  「すごいでしょう、綾、渉君」  「「うん」」  みんなが順番にゆっくりと外に出てくる。  綾と渉は外に出た瞬間にあまりのすごさに声がもれる。近くにいた若菜が2人に話しかけた。  「これで、最後っと!」  みんなが星空を見ている中、和志が最後のランプに明かりをつけた。  「和志! 危ないから先に行くなって毎回、言われているのに!」  「そう、起こるなよ、アズサ」  「怒るわよ!」  和志は小走りいや、早歩きかもしれない。アズサから逃げていた。  そしてアズサから逃げ回っていた和志は一番目目立つ場所にたどり着いた。  「あそこが和志先輩の特等席です」  「屋上のドアから真っ直ぐのところに来た場所が?」  「そうです。あそこからフェンスに背中を預けて真っ直ぐに上を向くのが、先輩のお気に入りの特等席なんです」  「そしていつもアズサ先輩に起こられる。それが天文部の名物なのよ。ねぇ、サユリ」  「そうですね」  「確かに和志先輩早く行動していた。でも、先輩が早く星空を見たいのも分かるような気がする」  「確かに渉の言う通りかもね」  綾と渉達は星空を見ながら会話をしていた。そんな会話の中和志はアズサの凄すさまじさに少しずつ後ろに下がっていき、そして『だから、ごめん』と言いながら和志は屋上のフェンスに背中を預けた時だった。  ガシャンと音と共に突然、フェンスが壊れた。  『うわぁぁぁーーー』と叫びながら和志がフェンスと一緒に転落した。  「か、和志ーーーーーっ!」  和志とアズサの声でその場の全員の視線が2人に集まった。  その場の空気が一瞬、止まった。  その場の空気からいち早く動いたのは綾だった。  「先生、警察に連絡を!」  「あっ、そうだ。け、警察に連絡!」  「部長は救急車を呼んで下さい!」  「あっ……あぁ」  「先輩、俺がやります」  震えて上手く手が動かない部長に変わって渉が救急車に連絡した。5分後に警察と救急車が来て屋上にいた先生が警察と話し合っていた。  部の全員と綾に渉は、職員室の来客用のイスに座っていた。  先生が警察と話し合う前に校長の元へ連絡したみたいで、校長が病院をよってから学校に来たみたく、山里和志が亡くなった事を全員に伝えられた。  全員で和志が亡くなった事を聞いて恋人であるアズサは泣き崩れ、アズサ以外の部員は震え、青い顔をしていた。  この事が始めての綾と渉もお互いに手を握っていた。互いに震えていた。  「刑事の羽間はざまという者です。すみませんが誰か、お話を聞かせて下さい」  みんな下を向いたままだった。  綾はそれを見て一度、渉を見た。渉も綾の考えが分かっているみたいでコクンと頷いた。そして綾が『自分が話します』と手をあげながら話した。  「助かります。辛いことを思い出させてすみません」  「いいえ、大丈夫です」  「では、他の皆さんは廊下で待っている親と一緒に帰っても大丈夫です」  「ごめんね、綾ちゃん。私達……」  「大丈夫です。私には渉がいますから皆さんは早めに休んで下さい」  「ありがとう、綾ちゃん、渉君」  綾と渉以外の生徒は両親の元へ行き、自宅へ帰って行った。  羽間という刑事から話を聞かれる事になった綾と渉は一度、深呼吸して刑事さんの質問にのぞんだ。  「詳しい事は明日、皆さんそれぞれに聞いていくんだけど、先に少しだけお話を聞かせてほしいから聞くね」  「「はい」」  「綾、渉。迎えに来たぞ」  「滝森先輩!」  「ん? あっ、羽間かぁ。久しぶりだな。元気にやっているか?」  「はい。おかげさまで」  刑事さんこら質問される前に2人の父、連の姿が見えた。どうやら知り合いみたいだ。  「お父さんの知り合いなの?」  「高校の後輩だ。部活が一緒でな」  「そうなんだ」  「滝森先輩のお子さんですか?」  「そうだ。2人共、挨拶をしておきなさい。これから何かあった時に頼りになるからなぁ」   「「はい」」  蓮に言われて綾と渉は軽めの自己紹介を始めた。2人の自己紹介のあとに羽間刑事も紹介が終わった頃に校長が蓮に声をかけてきた。  「こんばんは、滝森さん」  「こんばんは、校長先生」  「綾さんと渉君がまだ帰れずにいたっては申し訳ありません」  「いいえ、大丈夫ですよ。校長先生には、こっちの無理なお願いを聞いていただきありがたいですよ」  「そうですか」  「校長先生。私と子供達と刑事さんで話せる場所をお願いしたいんですが?」  「分かりました。近くの教室をお使い下さい」  「ありがとうございます。綾、渉、案内を」  「「はい」」  職員室こら一番、近い教室に刑事さんと蓮を案内した2人。教室のドアに近いところに座って刑事さんの質問から話が始まった。  「時間が遅いしまた明日に違う刑事さんから聞かれると思うから、こっちの質問された事だけ答えてもらってもいいかな?」  「「分かりました」」  「ありがとう。じゃあまずはなんで夜の学校に居たのかな?」  「部活活動で屋上にいました」  「部活?」  「はい。今日は天文部の夜の活動日だったので」  「それであそこに居たんだね」  「はい」  「2人共、えーと綾さんと渉君も天文部なんだね」  「違います」  「違うの!」  「はい。私は今、部活の見学者で渉は一緒に来てくれたんです」  「そうなんだ」  メモをとりながら羽間の質問がとんでくる。夜の学校で何をやっていたのか、和志が屋上から落ちてしまった要因は何なのかといろいろ。ある程度、質問してから時間が遅いので今日はここまでとなり、その場で解散になり、詳しい事は明日に捜査する事になった。  和志がなくなってしまった次の日は[[rb:急遽 > きゅうきょ]]、学校は休みとなった。  昨日の夜、学校にいた生徒の家に刑事が聞き込みに訪れては、事情を聞きに回っていた。綾と渉のところは夕方で一番、最後にやって来たのだ。  来たのは2人の刑事だった。一人は父の親友の簾堂刑事と簾堂刑事の部下の箕上[[rb:箕上 > みうえ]]という刑事だった。真面目にスーツを着こなし、見た目は優しそうに見える。背は簾堂より少し低い。  「よう! 蓮、来たぜ。ここで最後だ」  「来るなとは言わないが、そちらは?」  「俺の部下の箕上 [[rb:晟 > あきら]]だ」  「初めまして」  「初めまして。ここの探偵事務所の所長の滝森蓮です。今日は2人なんだなぁ、簾堂。いつもは一人で来るのに」  「あぁ、これからはずっと2人で捜査だ。新人が入ったからなぁ。これからは俺の相棒さ」  「そうか、優しく教えろよ」  「おい、蓮。それじゃあ、俺が鬼みたいな印象を与えるなよ。あっ、こいつとは昔からの親友」  「そうなんですか。道理で親友同士の会話だなと思いました」  「鋭いだろう」  「教えがいがあるんじゃあないのか」  「そうだろな。それで綾さんと渉君と話をしても大丈夫か?」  「大丈夫だ。俺の子供達だぞ」  「はいはい」  「綾、渉、こっちに来なさい」  「「はい」」  綾と渉は蓮に呼ばれて2人の刑事の前に現れた。蓮は簡単に箕上刑事に2人の事を教えた。  「私の子供達です。姉の綾と弟の渉です。見てお分かりと思いますが双子です。2人とも挨拶しなさい。簾堂はいいがこちらは新人の箕上刑事だ」  「初めまして姉の綾と言います。高1です」  「初めまして弟の渉です。同じく高1です」  「初めまして新人で簾堂刑事とこれから共に行動することになっています、箕上晟と言います」  簡単な挨拶をしてから簾堂が2人に手をあげて、挨拶感覚で話をして来た。  「やぁ、2人とも。辛いと思うが話を聞かせてくれないか? 昨日は、羽間が話を聞かれたと思うが1日たって思い出したこと何でもいいから」  「はい、けど……」  「俺と綾の答えは昨日と同じ。他の人と会話をしていると、突然に叫び声が聞こえた時には、もう先輩はフェンスと一緒に落ちたあとでした」  「やはりそうか。同じ証言か。アズサという子だけが違うが」  「アズサ先輩が和志先輩の近くにいましたから……」  「そういうことか。しかし、なぜ少年が屋上から落ちたんだ、[[rb:秋於 > あきお]]?」  「アズサという子の証言だと和志という少年がフェンスに背中を預けた瞬間にフェンスと一緒に落ちたらしい。落ちた原因は、フェンス乗ろうかと考えている。屋上に行くことが禁止されているみたいだし、取れたネジも見つかっている。学校側の点検ミスと考えるのが[[rb:妥当 > だとう]]と思う」  「あ、あの……簾堂刑事」  「なんだ?」
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