あなたは誰も傷つけない
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何度瞬きをしても、確かに夜光虫は周囲を舞っている。まさに危機的状況に、どうして森に――しかも夜に――入ってしまったのかを思い返さずにはいられなかった。 発端は今朝届いた便りにあるのだ。 見たこともない豪奢な飾りに泡を食い、開けてみれば、一人娘の王女の婿候補に選ばれたので城に来いとある。到底信じられるような内容ではないが、末尾に王と王妃、そして王女の名が連ねてあればもはや疑う余地はなかった。
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