あなたは誰も傷つけない

8/55
前へ
/55ページ
次へ
 命あっての物種だ。このまま夜を明かそう。袖で汗を拭い、ふと目の前を小さな野うさぎが横切ったのを目撃した。おいでと手を差し出せばあまり人を警戒しないのか懐に飛び込んできた。    可愛い。安堵する。一晩の相棒にさせてもらおうと決めたのも束の間、うさぎはレイの胸から飛び出していった。    野性の生き物だ。仕方ないとそのまま見送るつもりだった。しかし、ここでも夜光虫が飛び交っている。再び魔獣のことが頭をもたげ、レイはうさぎを追っていた。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加