昨日のこと

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昨日のこと

「で、どうだったのよデートは」 月曜日、学校に来て早々 冬華が話しかけてきた。 「それがね」 お化け屋敷に行ったわたしたち。 先輩を怖がらせようとしたのに、逆にわたしが オバケに怖がる始末だった。 「ぎゃあぁぁぁっ!オバケーっ!!!」 目の前に立ち塞がるオバケに 怖がるわたしを先輩は写真に撮っていた。 「いいね、その顔」 「先輩っ!」 涙目で睨む。 「あはは、いいじゃん可愛いし」 「良くな、えっ今なんと」 ドキドキしながら先輩に目線を移す。 先輩は意地悪な笑みを浮かべる。 「2度も教えてあげない」 お化け屋敷を出ると わたしはため息をついた。 「怖かった…なんで先輩は怖がらないんですかー!」 「そういうの大丈夫な方なんだよね、俺」 「じゃあ!苦手なものは!」 「弱みを握りたいの?」 先輩がニヤリと笑った。 「そういうわけじゃ」 「あはは、さくらはわかりやすいね」 えっ、わかりやすいの?わたし。 顔に出してないつもりだけど。 「それより、先輩の苦手なものが知りたいです!」 先輩を恐怖に陥れるのよ! 「特にないよ〜」 「えぇっ?人間誰しも苦手なものって あるもんでしょ?ホントですか?」 嘘をついてるんじゃ。 「うーん、強いて言うなら猫かなぁ」 「猫!!可愛いじゃないですか!!あんなに 可愛い生き物この地球上に存在しませんよ!」 「うーん、俺、魚とかの方が好きなんだよねー 世話楽だし」 なんてこった。猫より魚が好きなんて。 「でも、心配しないで?さくらも好きだから」 ニコッ。 今のニコッ。で心臓が!! 胸を押さえる。 しかも、好きって言った? まさか、わたしが先輩のこと好きってバレた? 「な、なんのことでしょー」 目を逸らすと先輩はわたしの顔を覗きこんだ。 目が合う。 ドキドキドキ。 「さくら、俺のこと好きなんでしょ? いいよ、付き合ってあげる」 「へ?」 今、何が起きた? 付き合う? つまり、先輩はわたしのこと。 わたしも好きです。 でも口から出る言葉は反対で。 「仕方ないですね!付き合ってあげます!」  こうしてわたしたちは付き合い始めたのだった。
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