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エピソード6
〈え?〉
気配を感じようと顔を横に動かして気づいた。
〈アイマスクを着けられてる。〉
「先生?アイマスク外してください。怖いです。」
「……………。」
やっぱり返事がない。
〈先生は、私が狭いとこや暗いとこが苦手なのを知ってるから、こんな事をするはずがない。じゃあ、いったい誰が?〉
「誰?」
恐怖しかなかった。私の股の間に体を入れ、手首を拘束し、アイマスクを着けた人物。
「しーーーーーーい。」
緊張がマックスになった。
〈どうしよう。先生、助けて。〉
身体が震え、涙が出てきた。
「お願いします。助けてください。」
「抵抗しなければ、直ぐに終わる。」
低い声で見えない人物が言う。男の言葉の意味がわかったのは直後だった。
「んん…いや。」
男が首や胸に舌を這わせる。
〈私、何も着てない。やだ、気持ち悪い。〉
「や、やめて。」
男は無言で胸の先端を舌で弄る。手で押し退けようと腕を動かそうとしても、手首を掴まれていてどうしょうもできない。足もバタバタと動かしてみたものの、股の間に入られているので無駄だった。
ちゅぱ…ちゅぱ…。
胸を吸われる音だけが響く。
「いや…やめて。」
「もう一度だけ言う。大人しくしてたら解放する。」
「しなかった…ら?」
「先生に二度と会えないようにする。」
[悔しいけど、先生を交換条件に出せば、大人しくしてくれるよね?チョコさんが欲しくて欲しくて仕方ないんだよ。一度だけで良いから俺を感じてよ。]
「わかりました。」
先生に会えなくなるのは嫌だから、私は大人しく男を受け入れることにした。男は握っていた私の手首をから手を離した。試されてると直感した。男は首や耳を舐め、手は乳首を弄ってる。
〈ん?この匂い…何処かで嗅いだ匂い。思い出せ。私。〉
ちゅ…ちゅ…ちゅ…。
首筋にキスを落としているかと思ったら、急に唇を重ねてきて、舌を挿入してきた。
「んん…ちゅる…ちゅ。」
胸の先端をキュッと摘まれて、反応したくないのに、身体が反応してしまった。
[先端が性感帯の一つか。強めに弄ってみようかな。チョコさんの声が聞きたいよ。]
更に強めに摘まれ、先端をクニクニと弄られる。
「んん…だめ。やだ。」
私は必死に冷静になるよう努め、男の匂いをもう一度嗅ぐために、男の顔を引き寄せキスをした。
〈思い出した。この匂いは三木君の匂いだ!〉
「三木くん?」
「あーあ。ばれちゃった。」
「どうして?」
「チョコさんのこと好きだから。でも、チョコさんは先生のことが好きみたいだし。それに、先生とは、キスマーク付けられるほどの関係で、先生もチョコさんが好きで…。こうでもしないと、チョコさんを俺のモノにできないじゃん。」
「やり方が、おかしいよ。」
「わかってるよ。自分でもおかしいってわかってる。でも、どうしようもないんだ。ねぇ、チョコさん。一回だけで良いから、俺のこと感じてよ。そしたらチョコさんのこと諦めるから。」
「できないよ。そんなこと…。」
「あ!マスク取らないで!今の俺、見られたくないから。」
私はマスクにかけた手を下ろした。
「終わったら、先生のとこに返すから。」
「抵抗したら?どうするの?」
「抵抗されたら、先生に動画を送る。」
「ひどい!」
「わかってる。俺、狂ってるよね?」
三木君の雰囲気を掴もうと必死に五感を研ぎ澄ませた。
「初めは、ただ会話ができれば良いと思ってた。だけど、メールで解決できることはメールでってラインが来た時に、先生のモノになったんだって確信したんだ。そしたら、無性に腹が立って…。チョコさんお願い。俺が本当に狂う前に、チョコさんの優しさの欠片を分けて。」
「人を好きになる気持ちはわかるよ。でも、好きな人が嫌がることをする事は間違ってるよね?」
三木君と私の間に沈黙の時間が流れ、その沈黙を破ったのは三木君だった。
「交渉決裂ですね。チョコさんに許してもらおうなんて思っていません。警察に届けるなら、それでも良いです。終わったら僕は二度とチョコさんの前に現れませんから。」
〈先生。先生ならどうしますか?優しさの欠片をあげますか?私はどうしたら良いですか?人を好きになる気持ち。その人を待ちわびる気持ち。その人のことが愛おしくて、切なくて…三木君のやり方は間違っているけど、彼の気持ちが痛いほどわかる。だって、私が先生を想う気持ちと同じだから。先生に会いたい。〉
こんな時でも私は先生を想い…会いたいと思った。
[チョコさん。ごめん。]
頬に何かが落ちてきた。ポタリ。ポタリと何度も。
〈涙?〉
見えないけど三木君の顔を探して触れると、やっぱり泣いていた。
〈私は、情に流されるタイプだな。〉
そんなことを思いながら、三木君の涙を拭い、顔を引き寄せ、唇を重ね、私から舌を絡ませた。
[チョコさん。ありがとう。]
ちゅ…ん…ちゅる…。
どのくらいの時間、唇を重ねているのだろう。たまに角度を変えるぐらいで、ひとつひとつの動きと感覚を記憶させるかのように、ずっと重なったままの唇。
ちゅ…ちゅる…ちゅ…ん…。
舌を絡めた時のちゅるんという音が響く。
ちゅるん…ちゅ…ちゅ…。
「あ…ん。」
唇が離れて呼吸する間も無く、今度は首筋に彼の唇を感じる。私は彼の柔らかな髪を撫でた。
[今日のチョコさん、いつもより良い匂いがする。香水つけてるんだ。吸い付きたくなる肌、微かに聞こえる声。もう我慢できない。]
「ぁあ!んん…や…ん。」
胸を鷲掴みにされ、大きく円を描くように回され、胸の先端を摘まれた。
「はぅ!あん。」
思わず仰け反り、声が出てしまった。
「ここ、感じるんだ。」
俺は、ぷっくりと膨らみ硬くなった先端を指の腹で捏ねたり、弾いたりした。
「はぁ、はぁ。ああ…や…あ・・ん。んは…だめ…あん…。」
じゅる…じゅ…。
柔らかい舌の感触が胸を駆け巡り、下半身では彼の男根の柔らかな先端が膨らんだ蕾を刺激する。腰をズラして当たらないようにすると、胸を舐めながら片手で腰をホールドされ、更に擦り付けられた。私は湧き上がる快感を我慢できず、シーツを握りしめ、昇りつめた。
「はぁ…はぁ…。」
三木君が私から離れた。
「三木君?」
「大丈夫。変なことしないよ。ゴムを着けてるだけだから。」
そして、その時は急に来た。
「ぁあ!んん!」
股の真ん中に柔らかくて、くすぐったい感触が湧いた。腰を引くと、太ももの付け根をガッチリと持たれて引き戻された。脚を閉じようとすると、内腿をゆっくりと押し広げられた。
「すごい。」
「や…見ないで。」
チョコさんの秘部は、密が溢れていた。俺は蜜で濡れている毛を指で拡げ、ヒダと蕾を確認した。
「綺麗。ピンク色のヒダが見えるよ。」
「恥ずかしい。」
三木君は、私の硬くなった蕾の皮を剥き、露わになった核を舌先で弾いたり、吸い付いたり、指先で撫でたり、最後はピチャピチャと犬が水を飲むように音を立てて舐められ狂いそうだった。
「ああ…あん…や…んあ…。」
三木君の指が私の中に挿入され、グチョグチョの中を掻き回す。
「ああ…だめ…ああ…。」
チョコさんの中は、暖かくて、ヒダが指に吸い付いてくる。自分のを挿入した時のことを想像しただけで、血が湧き上がり更にいきり勃つのがわかった。
「んん…あ…あん…。」
感じる場所をピンポイントに攻めてきた。
〈ダメ。そんなにされたら…。〉
チョコさんの中が膨らんできた。
「ああ…ダメ…。」
全身に力が入り、私は脚をピンと伸ばして飛んだ。
「チョコさん。可愛い。もうビショビショだよ。」
チョコさんの愛液が付いた指を舐めると、少し塩分を帯びた味がした。そして、チョコさんの愛液を舐めている現実に興奮しつつ、次の段階へと進むことにした。
「ああ…ん。」
三木君の硬い肉棒が入ってきた。根元まで入ると、グリグリと腰を押し付けられ、奥まで到達した男根の先端が中から膀胱を築き上げ、尿意にも似たツーンとした感覚に襲われた。
「んん…んふ…んふ…。」
再び唇を重ね、動き始めた下半身の疼きを感じながら三木君の舌に自分の舌を絡め、彼の口の端から溢れる唾液をすすった。
チョコさんの唇の柔らかさと唾液の温かさが気持ち良くて、何度もキスをし、何度も耳元で「好き」だと囁いた。
「んん…あん…あ…マスク…外して。」
三木君の動きが止まり、ゆっくりとマスクが外された。初めぼんやりと見えていた三木君の顔が、次第にハッキリと見えてきた。
「マスク、取ってくれてありがと。」
「最後は、チョコさんの顔をしっかり覚えておきたいし…。」
「うん。」
「イクよ。」
そう言って、三木君は腰をしならせた。
「あ…そこ、ダメ。」
ヌルヌルになって滑りが良くなっている蕾の上を三木君の指が腰の動きに合わせて滑る。再び尿意に似た感覚が押し寄せ、失禁してしまうのではないかという思いが脳裏をよぎる。
「ダメ。漏れちゃ居そう。あ…あ…はぁ…はぁ…んん。」
全身に力が入り、私は三木君の肉棒を押し出すほどの勢いで上り詰めた。
「はぁ…は…はぁ…。」
「チョコさん凄い。でも次は押し出されないよ。」
そう言って、三木君は再び私の中へ入ってきた。ヒダを絡めながら滑らかに出入りし、徐々に動きが速くなる。
「あ…あん…あ…。」
ギシギシとベッドが軋む。
「もう限界。チョコさんイクよ。」
「んん…あ…う…ん…。」
私の首元に顔を埋め、肩を抱えるようにして覆い被さってきたので、彼の首に腕を回し、彼の気持ちごと受け止めた。彼の汗ばんだ体が私の体に何度もぶつかる。ぶつかる音がベッドの軋む音と重なる。私の中で脈打つ彼と、それを誘発するかのように痙攣する私。私たちは同時に果てた。
「はぁ…はぁ…はぁ。チョコさん、ありがと。俺は出るけど昼まで使えるから、チョコさんが好きな時間に出て。」
息を整える間も無く三木君は、そう言ってベッドから降りた。
「三木君!」
彼を呼んだけど、振り向くことなく服を着て部屋を出て行った。
残された私は、一気に現実に引き戻された。先生に申し訳ない気持ちでいっぱいになり、どうして良いのか?わからず、ただただ頬を涙が伝う。でも、先生に会いたくて会いたくて…謝りたくて…部屋を出て最上階へ続く階段を駆け上がった。
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