欲と、相反する葛藤 眠り

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欲と、相反する葛藤 眠り

眠たかった。 ただ、寝たいだけだった。 深く、泥のように 暖かい布団にくるまれながら。 ただ、心地よいまどろみに 沈んでみたかった。 浅ましくて見ていられないすべてから 少しだけ目を逸らしたかった。 誰にも頼れない意地っ張りに 一つだけ許された甘えだった。 ここ瞼の奥に揺らぐ恐怖に 今にも呑まれてしまいそうだった。 おぞましい夜の最中 押し寄せる不安に、勝てないと悟った。 まぶたを閉じる。 今だけ、夢の霧にとらわれてしまおう。 本当に、今だけだから。 あと5分。
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