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「似た名前のがいいよな?優斗?裕也?…なんか違う」
「いい、いい!決めなくていいから!!」
咄嵯に叫んだ。
「え?なんで?」
「さっきお前が裕樹って呼んでたのに、急に別の名前名乗ったら変だろうが!」
「ああ、確かに……。やっぱり裕樹はすごいな」
「全然すごくねぇよ……」
周りの視線が痛い……。
軽く肩を叩かれて、振り返った。後ろに立っていたのは、同じサークルでそこそこ仲が良い中西だった。
「…なぁ、三枝。背中にデカい虫がついてるぜ?」
「嘘だろ!?︎取って!!俺、マジで虫無理なんだって!!」
「嘘。ほんとすぐ騙されるな、お前」
「……はぁ!?ほんとふざけんなよ、許さないかんな中西!……あ」
……。
ゆっくり、中西から視線をそらす。
「……裕樹って抜けてる?」
信二にだけは言われたくない。
そこでハッとして、俺はわざわざ屈んで目線を合わせていた信二の肩を掴んだ。
「……信二、よく考えたら先生たちにも話してあるし、隠す必要なかったわ!」
「あ、それもそうだな」
無駄に恥をかいた。
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