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「……で、結局どういうこと?この子はマジで三枝なんだよね?」
「……うん」
「でも、なんで縮んでんの?」
「……色々あったんだよ」
ああ、もう、最悪だ。身体が小さい分、みんなに囲まれると圧がすごい。
「なぁ、写真撮らせてくんね?」
「絶対ダメ」
信二がまた即答した。
「そろそろ講義始まるぞー」
先生が教室に入ってきて、呼びかける。
みんな慌てて席に着く。
俺も適当な席に座った。…足が床につかないんだけど。
小さくなった自分の手を見てため息をつく。
早く元に戻れるといいけど…それまでどうやって過ごせばいいんだ……。
「じゃあ、今日の授業はここまで!」
先生の声とともに、急いで教室を出る。
「裕樹、一緒に帰ろう」
「おう」
信二と2人で並んで歩く。
「……」
「裕樹?どうしたの?」
「いや、なんでもない」
信二が心配そうな目で見てくる。
「暗い顔してるけど、体調悪いの?」
「大丈夫だって」
信二が顔を近づけてきた。
「熱はないみたいだけど」
おでこがコツンとくっつく。
「ちょ、信二近いって!」
不服そうな顔をする信二から距離を取る。
「…俺、これからやってけるかなって思っただけだよ。ほら、小さい頃に戻ったわけだし……いつも通ってる大学がさ、普段と全然違う感じがしたっていうか……」
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