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「なんだ？これ」
ふと目に入ったのは、隅にポツンと置かれた真っ白な分厚い本。
くるくると回して裏や背表紙を確認しても、何の文字も書いていない。それどころか……。
「中もなんにも書いてないでやんの」
パラパラとページを捲って見ても、そこには文字一つ印刷されていなかった。
「変なの。まだ出来上がる前の本なのかなぁ？…あれ？」
その本は分厚すぎて、子供がずっと持っているにはあまりにも重たい。
なので一度床においてひたすらページを落としていたその時、後半の部分だろうか。一瞬どこかのページに、黒い文字が浮かんでいるのが目に入った。
「えぇ、何ページ目だろう」
今度は先ほどよりもゆっくりとページを落とす。寒さのせいで指先が冷たくなり、思うように動かせない。
それでもひたすら同じ作業を繰り返し、やっと見つけた。
一ページだけ、丸っこい文字が印刷されている。
そこには……
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