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「…っ!!た、大変だ!!」
おつかいの鞄とその本を脇に抱え、僕は急いで図書館を飛び出した。
……あぁっ、だけど、黙ってこの本を持ち帰ってしまったら僕は泥棒になってしまうのかもしれない。
そんな考えが頭を過り一瞬躊躇したが、一度立ち止まり、誰もいない図書館へ深々と頭を下げた後、再び全速力で走り出した。
息を切らし急いで自宅へと辿り着いた僕は、その本を一度靴箱に仕舞い、買い物袋をお母さんへと渡した。
「おやつがあるわよ」とお母さんに言われたけれど、「あとで食べるね」と言って、僕はすぐに玄関へと戻り、靴箱に隠しておいた本を今度は着ていた洋服の中へと隠し、そぉっと二階にある自分の部屋と戻った。
「これ、本当かなぁ?」
お腹の部分からよいしょと本を取り出し、もう一度パラパラと捲って今度はその文字が印字されているページを見失わないよう、間にえんぴつを挟んだ。
そうして食い入るように、そこに書かれている文章に目を通す。
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