第1話 目覚め

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第1話 目覚め

『バース』と言う言葉が浸透して随分経った。確実に妊娠する性として『オメガ』が酷使され、人口はゆっくりとだが回復してきた頃、バースに関する人権問題が提起された。それと同時に、オメガが世界的に不足してきたことも問題視され始めた。  一部の有力者であるアルファたちが、子を産む事だけにオメガを消費した結果である。アルファとオメガの間に産まれる場合と、ベータとベータの間に稀に産まれるオメガ。奴隷か、家畜の如く扱われる国にいるより、人権を尊重されて住みやすい国へとオメガが流出し始めて、ようやく権力者であるアルファたちが対策を取り始めた。  オメガからしかアルファが産まれてこない現実に遭遇し、ようやく取った対策が『シェルター』だった。アルファとオメガの間に産まれたオメガは、第二次性検査で判定されるが、ベータとベータの間に産まれたオメガは、バース判定のためのフェロモンが少なく、ベータと判定されることが多い。故に、大人になってから突然発情期を迎え、オメガに覚醒することとなる。  そんなオメガを保護するための施設が『シェルター』なのだが、保護される過程に問題があった。
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