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「違うの。そういう意味じゃなくって! そういう意味じゃないんですっ」
私は、顔の前で手を振った。
自分の頬が赤らむのが分かる。
これじゃ、ただの変なナンパだ。
「私、神崎花といいます。アヤシイものではございません。
アヤシイものではないんですけど、ちょっと困ったことになっていて……」
私は、今までの経緯を説明した。
時々つっかえながら、一生懸命……。
「つまり君は、100年先の未来から、バイクに乗ってやってきた。
そう言いたいんだね」
「そうなんです。……信じてくれました?」
「とても信じられない話だね」
「そ、そんなあ!」
私は、泣きたいような気持ちで叫んだ。
「ねえ、私、とっても困ってるんです!
妹は見つからないし。
お金もないし、不安になって、そんなとき、あなたに助けてもらえて……すごくすごく、なんていうかホッとしちゃって」
そうだ。
私は、この人に助けてもらえて、ホッとした。
それなのに、考えてみたら、ちゃんとお礼も言ってない。
なんて常識なしのおバカさんなんだろう。
「ありがとうございました」
私は深々と頭をさげた。
「本当に助かりました。このうえ、泊めて、だなんてあつかましいですよね。すみませんでした。お金、きっとお返ししますから……」
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