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「気に入ってもらえたならよかった。それと、こっちがバスルーム」
「ワーオー」
思わず、外国人風に喜んでしまった。
二階にもお風呂があるとはすごい。
しかも猫足のバスタブだ!
「僕は下にいるからね。寝巻や洗い粉が入用なら、あとで取りに来なさい」
「……あらいこ?」
洗い粉とは、粉末の石鹸であり、シャンプーも兼ねたものらしい。
湯船につかり、濡れた髪をタオルでくるんで、薫さんが貸してくれた浴衣を羽織る。
ドライヤーは見当たらなかったが、今さら聞きにいくわけにもいかないのであきらめた。
そもそも、大正時代にドライヤーなんて、存在していないのかも。
「ああ、疲れたあー」
濡れた髪をタオルでくるみ、ベッドにダイブする。
柔らかい毛布を引き寄せると、どっと眠気がおそってきた。
今頃、雪ちゃんは何をしているんだろう
そういえば、今日、誕生日だったんだよなあ、私………。
窓の外から、虫の鳴く声が聞こえてくる。
チッチッチ、リーンリーン……。
私はいつのまにか眠ってしまった。
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