*うるはしき白薔薇邸

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「うわああああ」 という叫び声で目が覚めた。 「な、なに?」 目を開くと、知らない男の子と目が合った。 こざっぱりとした藍色の和服姿で、書生さんのようなスタイルだ。 短い髪の毛、きりっとした感じのつり目。高校生くらいだろうか。 「だ、だ、誰ですかっ?」 いや、こっちのセリフなんだけど。 私は寝ぼけたアタマの中で、突っ込んだ。 というか、ここはどこなんだっけ……。 「か、かっ」 「……か?」 「か、薫さまがッ」 ――そうだ、薫さんだ。ここは薫さんの洋館だ。 私、大正時代にタイムトリップして、薫さんに助けてもらって、泊めてもらって。 「薫さまが、娼婦を家に連れ込むなんてッ」 それで、娼婦になって連れ込まれて。しょ、しょうふ?! 「破廉恥だああ!」 彼は絶叫すると、部屋から立ち去った……。 「なんだったんだ……今のは」 ひとり言をつぶやき、私はのそのそと起き上がった。 壁にかかった鏡をのぞいてみる。 肩口まで伸ばした髪は乱れて、寝巻の浴衣の合わせがずれ、下着があらわになっている。 「うーん……」 私は唸って、ポリポリと頭をかいた。 こんな格好じゃ、娼婦と間違えられたのも、無理はないかもしれない……。 とにかく私は顔を洗い、髪を整え、来た時の服装――ボーダーのカットソーに、生成り色のスカートという格好――に着替え、階下に降りた。
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