*うるはしき白薔薇邸

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「ありがとう。こっちに映っているのは、花かな? ちょっと顔だちが違うようだけど」 「ああ……。加工しているから……」 「このポーズはなに?」 「え? ピースのことですか?」 薫さんは、じっとプリントシールに目を落とすと、大事そうに胸ポケットにしまった。  「珍しいものをもらったお礼に、これをあげよう。入用なものを買うといい」 ぽんと、がま口の財布を渡された。中をのぞいてみると、昔のお金が入っている。 「ありがとうございます。正直、一文なしなのって心細いし、お金を借りられるのはありがたいなって」 薫さんはほほえんだ。 「気にしなくてもいい。 その代わり、もしも妹を見つけたら、ちゃんとここに戻ってきて、僕に報告すること。 それまでは、客人として二階を提供しよう」 私は「はい」とうなずいた。 「もっと未来の話を聞きたいところだけど、実はこれから出掛けなくてはならないんだ。片づけなくてはならない仕事があってね」 「そうなんですか……」 私は、ちょっとだけがっかりした。 薫さんと、一緒にいられないのは残念だけど、お仕事ならば仕方ない。 「僕のかわりに、小太郎に色々手伝ってもらいなさい」 「え。なんで俺が」 小太郎君は、不満そうな顔をしている。
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