*群雲まよふ

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*群雲まよふ

気が付くと、地面の上に倒れていた。 「あいたたた……」 私はスカートについた砂を払って、起き上がった。少しめまいがする。 一体ここは何処だろう? 雪ちゃんと、家のガレージにいたはずだけど。 まばたきをして見渡せば、街の様子がいつもと違う。 いつもなら、河川敷をまっすぐ行けば、提公園に出て、橋のふもとの信号のところにコンビニがあって、イケダ珈琲店の新規オープンの、のぼり旗が風に揺れているはずなのに。 なんだか古めかしい、日本家屋の、屋根瓦が連なるばかりだ。 イケダ珈琲どころか、信号さえも見当たらない。 「……雪ちゃん?」 私は、キョロキョロと妹の姿を探した。 ポケットからスマホを取り出してみれば、画面は真っ暗だ。 こんなときに充電切れ……? 電源を何度か押してみる。反応なし。 数人の子供たちが遠巻きにこちらを見ている。みんなそろって和服姿だ。 「ねえ、誰かケータイ持ってない?」 子供たちに話しかけてみたら、ぱあっといなくなってしまった。 私は仕方なく歩きだす。 どこまで歩いても、知っている道に出ない。 自動車に混じって、荷馬車が砂煙をあげて走っている。
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