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私は、耳を疑った。
そんな、いきなり警察とか。
もしかして、私、ここでつかまっちゃう?
罪状、食い逃げ。
かっこわるっ!
私は必死におばちゃんに頼み込んだ。
「あの、じゃあバイトしますからっ。ここでバイトして返すのはどうですか?」
「はあ。何を言ってるんだい?」
だめだ。どうしよう。思わず頭を抱えたときだ。
「僕の連れがどうかした?」
頭の上から、涼しい声が降ってきた。
「まあ、薫の君!」
おばちゃんの声が、歓声を含んで裏返える。
……かおるのきみ?
見上げると、背の高い男の人が、カウンターに両手をついて立っている。
「ああ……五銭でいいのかな」
彼は、お金を置くと、私のほうに視線を向けた。
「さ、行こうか」
え、なに。誰?
さ、行こうかって……。どういうこと?
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