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りんごん、りんごん。
冬の青い空に、涼やかな音が広がります。教会から出てくる幸せそうな花嫁さんと花婿さんの姿を、円さんはたくさんのひとの中からそっと見守っていました。
円さんと花嫁さんと花婿さんは、同じ会社で働いています。いろいろと苦労をしてきた美しい花嫁さんを、王子さまのような花婿さんに引き合わせたのは、この円さんなのです。
地味で目立たないはずの円さんには、ちょっとした噂があります。縁結びの魔法が使えるというのです。
けれど、本当のところは誰にもわかりません。円さんに聞いたところで困ったように首を傾げるだけ。それに普段会社の隅でこまねずみのようにひっそりと働いている円さんには、友だちはおろか、とりたてて仲のよい同僚もいなかったのです。
「先輩、ありがとうございます!」
「燕谷さんのおかげです、本当に」
いきなり今日の主役たちから声をかけられて、円さんは頬を染めました。恥ずかしそうに微笑み、小さくうつむきます。そのままフラワーシャワーの花びらを、思いきりよくふたりに振りまきました。
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