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あのスカートを見たとき、胸の中で何かが湧き上がった。高校の頃、友人とはしゃいだ記憶が蘇ったからだ。
友人と私はとても仲が良かった。週末はいつも一緒に電車に乗って都内に出ては、お互いに好きなアパレルショップを見て回ったものだ。
厳しい家庭に生まれ、高校生でありながらバイトも許されなかった私は、ファッションやメイクに興味が強かったものの、そう易々と買うことなどできなかった。
だから買うものは厳選していた。試着室で何度も着替えて最良の一着を選ぶ。その一着に身を包んだとき、ようやく私は世界に溶け込むことが許されるような気がしていたから。
ある日、いつものようになけなしの小遣いを握りしめて、都内のショップで厳選していたときのこと。友人が、私が普段選ばないようなオレンジのスカートを私のいる試着室に持ってきた。
それは私にとって鮮やか過ぎて、少々眩しかった。
「彩葉、たまには攻めてみたら? ホントは冒険、したいんでしょ? こういうの履けたらすっごくカッコいいし、可愛いと思うよ」
鮮やかなオレンジは、普段ナチュラルテイストで白やライトベージュ、ミントグリーンが多かった私にとって、未知の色だった。
でも興味は尽きない、新しい自分に出逢える気がして。
スカートを受け取って私はそれを履いた。鏡に映る自分はそれだけでまるで別人のように色づいた。
試着室のカーテンを開けると、友人は口元を両手で覆いながら目をまん丸にした。
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