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「ほら、やっぱり! すっごくオシャレ!」
「そう、かな? 着られてないかな?」
「全然そんなことないよ! 彩葉は脚も長いし、スタイルいいし。胸張っていい、私が保証する!」
「佳苗にそこまで言われると、なんだか自信つくなぁ」
佳苗は底なしに明るくて、前向きで、いつもキラキラしていた。それだけじゃなく、彼女は本当に服が好きだった。好きなことに努力は惜しまないし、勉強もしている。将来はファッションデザイナーになりたいという夢を持っていた。
そんな佳苗に褒められた。そのことに大きな意味があるということを噛みしめていた。
いっそ買ってしまおうか。そう思ったが、ぶら下がったタグを見てみると24990円(税抜)と表記されていた。
私も佳苗も、大きくため息を吐いた。
「大人女子への投資ってお金がかかるね」
何の気なしに呟いたつもりだったが、佳苗はバツが悪そうにしていた。興奮するあまり、私にはとても買えない金額の商品を選んでしまったことに後悔しているのだと気付いた。
「大丈夫だよ、大学生になったらバイトして買うから。なんなら、佳苗がデザインして私にプレゼントしてくれたっていいんだよ」
佳苗の表情がぱあっと明るくなった。
「うん、それいいね! じゃああたしの専属モデルは彩葉だかんね。あたしが彩葉をたくさん彩ってあげる」
「ふふ、楽しみができたね」
カーテンを閉めて、口元を緩ませながら私はスカートを脱いだ。
あれから7年。
残念ながら私は色づいた大人にはなっていないし、彼女の専属モデルにもなっていない。彼女がどうしているのかさえ知らない。
でも間違いなく言えることは、あの頃の私はカラフルだったし、未来も色に染めたがっていた。
それだけは、たしかなことだ。
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