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俺、こう思っているんだ。
罪っていうのは、痛みを伴って喰われるべきもの。それが罰となる。どんなに罪深い悪だって、いつかは喰われ尽くす。
罪がある限り痛みは続く。どんな悪人だっていつかは喰われ尽くされて、その罰は終わる。
ただ、唯一終わることなく喰われ続けないといけない罪がある。
何だと思う?
冤罪だよ。
ないはずの罪はなくなるはずないんだ。だって、始めから喰われるべき罪がないんだから。
冤罪を持たされた人は、永遠に喰われ続けなきゃいけない。痛みは、終わらない。
俺、冤罪だったんだ。悪くなんてなかった。
でも、父さんに悪い子だって言われ続けて、俺、自分が悪いんだって、罪人なんだって。そう、思ってた。思い続けていたんだ。
だから、だから、俺、父さんに叩かれても、殴られても、どんなこと言われても、自分が悪いんだって、悪いんだって、うぅ、思ってたのに。
思ってたのに。
思って、たのにぃ。
俺を家から連れ出したあの先生は、まず最初に教えてくれた。
「君は悪くない」
俺は悪くない。悪い子じゃない。
先生は、俺に優しく教えてくれた。
俺が一番欲しかった言葉だった。
俺、心のどっかで自分は悪くないって思ってたんだ。でも言えなかった。表に出せなかった。
父さんがこわかったから。
誰も父さんのことを悪いとは言わなかった。
地元内で甘いとこがあるから、誰も言えなかったんだと思う。きっとそうなんだよ。
それか、みんな父さんのことが恐かったんだ。
俺と同じように、みんな父さんのことを恐怖していたんだ。
今更思い出すと、町の人たちはみんなどこか父さんと距離をおいていたように思える。
単に他の町から来たとか、人柄的にちょっと付き合いづらいって理由じゃない感じだった。
何て言うのかな。えっと。
そうだそうだ。それこそあれ。
「余所者」
先生の言ってたあれ。過剰だとも思えたあれが、やけにしっくりくる。
なんでだろうな。
なんでだろうね。
まあ、答えはもう出てるんだけど。
それを言っちゃったら、俺のとっておきの話もおもしろくないからさ。
まだ、言わないでおくよ。
最後まで聞いてくれよな。
おい、そこの友人A。
特にお前だ。
この話はお前のためでもあるんだぜ?
ちゃんと最後まで聞いててくれよ。
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