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【0】動き出した光
「それ」は体をぎこちなく動かすと、無機質な台の上から起き上がった。周りには数名の人間が立っており、興味深そうな顔で見つめている。
「いつから見せものになったんです? ……殆ど僕の責任ですけどね。反省しています」
「それ」は微かに口を開いた。
「あんなラピス。うちは言われた通り綺麗に体をくっつけたけどな。蘇るってのは話に聞いとらんのよ。そこんとこ詳しく頼むわ」
巨大な蜘蛛を隣に連れた女が言った。
「なぁに、私が噛み付いただけさ。肉塊に出来ることが、私に出来ない筈がないだろ? 」
中心に立つ黒髪の女が笑いながら言う。
「もう大丈夫そうだな。手足も口もちゃんと動いているね。戦うってなると難しそうだが、それはまぁ徐々に徐々に」
「もう一度私の為に働いてもらうよ。ライカ君」
「それ」……かつてライカ・フィクトとアンジュ・ヨーテと呼ばれていた一人の人間は、二色の眼を光らせながら頷いた。
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