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買い物が終わると大通りに面したレストランに入る。フライトのおごりで、ナビゲーターによると衛生環境がよいと言われたのが決めてだった。
お昼ご飯は食べてなかったし、ちょっと早めの夕食を楽しむ。
「語れる範囲でいいから今後の予定を教えてもらえませんか?」
「そうね。まず、その話し方やめない? 最初はそんな話し方ではなかったわよね?」
「賢者さまに対する敬意です。是非とも賢者さまのスキルで支配していただきたい」
この人何言っているんだろう。賢者に支配なんてスキルがあるのだろたか。
『スキルに支配というものはありますが、賢者が必ずしも持っているスキルではありません』
それは持っているの? いないの?
どっち。
『持っていますが、レベル1です。魔力抵抗値の高い人には効きません。正面に座る方はとっても魔力抵抗値は高いです。低かったらモンスターハウスで死んでました』
つまり、どういうこと。
『……。えーと、恋情的なものかなぁ』
今、めっちゃ小声で何をいった。完全な沈黙じゃなかったよね。
なんか、聞き取れた気もするが、認識したくない気持ちが強い。
微妙な沈黙のなか、スープが出てきた。
『この店で使わらている野菜はダンジョンで取られたものです』
その情報は別に求めてない。けれど、料理に意識を向けるのは心の平穏のためには必要だ。
スープとサラダを食べ終わった頃、やっと口を開く気力が戻ってくる。
「明日も踊る野菜ダンジョンへ行こうと思っています」
マヨネーズ狙いで。ケチャップがあってもいい。
『マヨネーズはダンジョンボスか宝箱からしかでないよ。ダンジョンボスのリポップは10時間です。この情報は冒険者ギルドで教えてもらえるよ」
事前準備としては冒険者ギルドで調べるもののようだ。夜でもその手の機能が利用できるなら、使わせてもらおう。
メンイ料理はステーキだった。
『海が遠いからこの辺りでは魚を食べないよ』
ソース文化の料理だと思いならが食事をして、デザートを待つ。ドライフルーツや木の実の入ったクッキーが出てきた。
この町は田舎にあるにしてはダンジョンのおかげで食材が豊富にあり、発展している。デザートに砂糖を使ったお菓子が出てきたのもその恩恵だった。
ゆっくりと時間をかけて食事をし、店を出ると空に星が瞬いている。星の数が多くて、知っている星座なんてのもなくて、異国の地だと実感した。
いつかこの空こそが見慣れたものになるのだろうか。
感傷に浸りながら冒険者ギルドへむかっていたら、遠目に元同僚を見かけて道を曲がる。突然曲がったから、フライトが少し慌てた。
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