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 迷惑な異世界人の特徴として、単独行動を好み、独りよがりで恨み辛みを溜め込み復讐者となるというのがあるそうだ。 『ラノベ好きでしょ。そういう話読んだことあるでしょ。成り上がりハーレム系の』  ラノベ、会社でカバーつけて読むのが好き。カバーを外して読むのは社会派系の小説か仕事でいる専門書だ。 「社会制度が元の世界の所属していた国と違いますので、違和感はあります。しかし、それは恨みにつながるようなものでははありません」  身分によって命令され、理不尽を感じるようなことがあれば別の意見になるかもしれない。けれど、それは今ではなかった。 「気心の知れた相手がいるなら一緒に活動したいですが、三角関係の3人組はない! 心労的胃がやられます。ぼっちの方がマシ」  真顔で言い切ると、男は視線を彷徨わせた。 「わたしたちのいた国一夫一妻なので重婚は認められていません。なのに、あの中の2人はあちらで残してきた人と結婚してたのですよ」  今まで、どこにも吐き出せなかったダブル不倫からの社内三角関係について、ついつい熱く語ってしまう。ちょっとすっきりした。 「あと、上司だった人、派閥に取り入るのが上手い人で仕事はできる方ではなかったですし、失敗を押し付けるのが上手い女もいますから、新環境でもう1回一緒に仕事するなんて嫌です」  男は深々と頭を下げた。 「大変繊細な事情を話させてしまったこと、申し訳なく思います。それだけ、賢者という職の力は強いのです」 「そうですね、そちらも仕事なら仕方ない事もあるでしょう。ところで、わたしの職業がなぜ賢者とご存知なのかしら? 冒険者ギルドの登録は魔法師になっているはずですが?」  にこにこ、にっこり笑います。  珠莉は自分の顔を知っている。怒ったところでさして迫力はない。笑っている方が威圧的で不気味だと友人たちには言われていた。 「申し訳ございません。鑑定させていただきました」 「その情報を知っているのは誰ですか?」  フライトは確定だが、他にもいそうだ。 「地理情報が国とって大事ないものなら、個人にとって職業情報はとっても大事なものですよね。どんな人かわからない異世界人を鑑定するのはお仕事と立場によっては仕方のないことでしょう。けれど、それを他者に話すのは別です」  さて、不利益を被った分補填していただきましょう。異世界人ならその程度の理不尽は飲み込めというなら、いずれあなた方が警戒している復讐者になるかもしれません。  情報に対しては情報をいただきましょう。  にっこりと珠莉は笑った。
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