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歩く魚ダンジョン。その名の通り、2本の足が生えた魚のモンスターがいるダンジョンだ。手が生えて武器を持っているモンスターもいる。
魚としての形状に大変不満があるが、水没しているダンジョンよりはいいと思うことにした。
ここに来るまでが大変だった。
踊る野菜ダンジョンで数日活動して、筋肉痛に悩まされることはなくなり、体力もついた。なので歩いて平地移動くらい楽勝だと、思っていたら2日目から登山だった。
平地を行くときの3倍くらい休憩をとっても、翌日からは筋肉痛に悩まされる。体力が1番ないのが珠莉で、ネイトを恨みがしか見たら困ったように微笑まれた。
「男娼、体力勝負なところがあるから」
若い男の子だし、アラサー女とは基本が違いすぎた。
『大丈夫。魔力、体力、気力が充実したら若返るから。健康な若い肌を維持できるよ』
どんなエイジングケアよ。でも、老後を迎えるまでに時間稼ぎができるならありがたい。
今のままだと、身体が動かなくなると収入がなくなり、路上生活のあげく死因餓死とか凍死とかになりそう。
スキルがあるから住環境だけはどうにかなりそうだけど、ナビゲーターのアイテムボックスから食料が消えたら死にそうではある。
食材ダンジョンを目指すのは現状の食事改善とともに、老後の蓄えでもあるのだ。
『がんばれ、やればできる子』
ナビゲーターの適当な声援をもらいながら、やっとのことでダンジョンにたどり着く。
自然の山を相手にするより、たくさんモンスターの出るダンジョンの方が楽だと実感した。
そして登山の最中、ぐったりしていたこともあり、いつのまにか3人で一緒に食事をする様になっていた。
休憩中にお茶を用意してくれたり、襲ってくる魔物を倒して、串焼きやスープを作ってくれてりと、甲斐甲斐しくお世話されてしまっている。
ダンジョンに到着したから、また別でとは言いにくいし、下山中も同じことになりそうで、強く拒否できなかった。
これだけ来るのが大変なダンジョンだから、もう来なくてもいいように、しっかりドロップアイテムは集めていくことにする。
まあ、僻地のダンジョンだから他の冒険者がいなくて、魔法の練習はできそうだ。ネイトも魔力抵抗の強い人らしいし、装備でフライトに劣るが、フライトの影にいれば大丈夫だろう。
このダンジョン、海産物も手にはいるが、山の中にあるせいか、きのこや根菜、木の実なんかも手に入る。
ダンジョンも71層まであり、10層ごとにフロアボスがいた。手のあるモンスターだから武器を持っていることもあり、武器類もドロップする。
食材はまったく売る気はないが、いらない武器は売却しよう。
とりあえず、3人で2日かけてダンジョン深層までたどり着き、ダンジョンボスを倒した。このダンジョン、フロアボスを倒すと転移するための魔法陣が使えるようになる。
ダンジョンボスのリポップ時間が約6時間だそうで、70層に転移できるのをいいことに、日に3回倒しに行くのを日課にした。
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