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ナビゲーターは目覚まし時計としても優秀だ。窓はあるが、陽の光は入ってこない〈ホーム〉で、夜明けに起こしてくれる。
インスタントコーヒーをポットからお湯を注いで作り、ぼんやりした意識を覚醒させた。
ナビゲーターによると、インスタントコーヒーは6種類が各3000杯分あるとのことで、そうそうなくならないと、毎朝飲むようにしている。
アイテムボックスの中身は個人差がはげしいようで、元の世界で好んでいた物ほど多く入っているらしい。なので、人によっては大量のインスタントラーメンが入っていることもあるようだ。珠莉はカップ麺は10種5コしかない。
職場でよく飲んでいた紅茶や緑茶も多い。インスタントラーメンは少なめだが、冷凍食品は多く、電子レンジの使える〈ホーム〉でしか食べられそうにない物も多かった。
週末くらいしか自炊してなかったから、米ととか醤油とか味噌は少ない。なので、この辺りは現地調達を頑張らなくてはいけない。
コーヒーが飲み終わると、〈ホーム〉を出てスキルを解除する。
「おはよう」
調理中のネイトに声をかけ、ダンジョンは向かう。フライトはたぶんどこかで狩をしている。
サクッとダンジョンボスを倒し、焼いたら食べられる切り身のドロップ品を提供。きっとお昼ご飯にしてくれる。
戻ってきていたフライトと一緒にネイトの作った食事をとり、今日の予定を話し合う。まあ、基本、みんな単独行動だ。
珠莉は午前中、60層へ行く。先に進まないで、60層のフロアボスを倒してから、61層へ向かい、70層のフロアボスを倒す。その頃にはだいたいダンジョンボスが復活しているので、ダンジョンボスを倒してから地上に戻り、昼食となる。
60層から70層の間にはモンスターハウスが7箇所あり、とってもドロップ品を稼げた。ちまちま魔力を使うより、大技一撃で終わるのがとってもいい。
フライトとは50層以下のフロアボス巡りをして、ダンジョン周辺の魔物狩をしている。ネイトは自分のレベルに合わせたところを探索しているらしかった。
昼食後はネイト以外はリポップ待ちで、ダンジョンには入らない。フライトに騎乗ゴーレムを借りて騎乗スキルを上げてみたり、思いつきで料理したり、錬金術を試したりと、日替わりでいろいろやっている。
そうして、リポップしたことを見計らい、ダンジョンボスを倒せば本日のダンジョン攻略は終了だ。夕食を3人で食べ、珠莉は〈ホーム〉へ引きこもる。
そろそろだとは思っていた。異世界転移でストレスになっていたのか、数日遅れではあるが、くるものがきた。
必要な物はナビゲーターが持っている。わりと軽いほうだが、薬があった方がいい。毎月必要になる物資と薬は常備品あつかいだとかで、インスタントコーヒーを上回る量があるそうだ。
花粉症の人だと、目薬、保湿ペーパー、マスク、お薬が使いきれないほど入っているらしい。異世界なので、同じ名前でも杉の木は別物だが、元世界のスギ花粉に似たものはあるそうで、アレルギーは発症する。
原因がわからない分、いきなり発症してより辛いらしい。
ナビゲーターは神の慈悲。ないと困る物は手当が厚かった。
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